血友病センター
概 要
血友病は、血液を固めるためのタンパク質が生まれつき少ないため、些細な外傷でも大きな出血になる病気です。特に関節内に繰り返し出血がおこり、その結果関節が破壊されて関節の曲げ伸ばしができなくなる血友病性関節症は、身体的、精神的、社会的にも大きな障害になります。また、頭蓋内出血は対応が遅れると重い障害を残すことにもなりかねません。出血から派生する様々な問題を抱えた患者さんを多面的にサポートするために、当院に1984年、血友病センターが設立されました。血友病診療に長年の経験と実績を積んだ医療スタッフが、早期診断と適切な止血管理、血友病性関節症の発症予防・進行防止、患者さんやご家族への相談対応、子どもや家族への注射指導や教育を積極的に行っています。
診療の特色
1 血友病総合診察外来
個々の患者さんが抱える問題を多面的にとらえ、個々に合わせた治療を提供するために内科、小児科、整形外科、リハビリテーション科、並びに歯科口腔外科の担当医による他科連携での診察が毎月1回第一水曜日に実施されます(要予約)。また、この外来受診での検査や診察の結果は、診療にかかわったスタッフの評価会議の後、患者さんや紹介医へ報告書としてフィードバックします。
2 整形外科・リハビリテーション科による血友病性関節症の評価・発症予防・進行防止
血友病性関節症に関して総合診察外来で引き続き専門的な治療が必要と診断評価されると、整形外科での治療や、スポーツに対するアドバイス、リハビリテーション科での日常生活動作・リハビリ指導、装具や補助具などの処方等で関節症の発症予防や進行防止をはかります。
3 家庭輸注・自己注射導入のための指導・教育
生涯にわたり病気とうまくつきあってゆくことが療養の大きなポイントになる血友病の患者さん・ご家族にとり、病気についての基本的な知識をもつこと、出血をコントロールするための自己注射を含めた家庭輸注を導入することはとても重要なスキルとなります。個々の病状や家族の状況に合わせてセルフケアのための教育・指導を専門の看護師が行います。遠方にお住まいの患者さんには地域のかかりつけ医と連携して支援いたします。
4 血友病の歯の治療
止血に難渋する処置のため血友病の患者さんを受け入れてもらえる歯科診療施設が少ない中、当センターでは、歯科と小児科の連携により止血管理のもと歯科治療を行うとともに、地域の歯科医への治療依頼や紹介も行っています。
5 その他
血友病センターは、福岡県ヘモフィリア友の会事務局として患者会の支援も行っております。医師や看護師のボランティア、当学の学生ボランティア研究部の支援を得て、サマーキャンプや相談会、勉強会の開催等の支援活動を行っています。また、血友病看護研究会の事務局として、全国の血友病にかかわる医療従事者の支援活動も行っています。
スタッフ紹介
(更新日:令和6年4月1日)