病院長挨拶
令和2年4月
- 自分や家族が病気になったときに受けたい医療を目指して -
産業医科大学病院長 田中 文啓
令和2年4月より産業医科大学病院の病院長に就任いたしましたのでご挨拶申し上げます。
産業医科大学病院は昭和54年7月に診療を開始し、現在では北九州地区唯一の大学病院および特定機能病院として質の高い安全な医療・教育を行っています。
特にがん診療の分野では、近年は北九州医療圏で最も多くの患者さんの診察を行っています。これはひとえに、これまで開設以来産業医科大学病院発展のために尽力された多くの地域医療機関および関係者の方々の支援の賜物であります。
一方で、病院開設より40年以上が経過し施設の老朽化や狭隘化が目立つため、3年後(令和5年)の開設を目指して急性期診療棟新築の準備が現在進められています。
急性期診療棟は、急性期医療に関わる最新の医療技術の集約と部門の強化・集約化を基本コンセプトとしており、また、近年産業医の育成が強く要請される中、産業医科大学ならではの産業医養成に係る臨床教育の機能も併せて強化することとしています。
産業医科大学病院は、患者様の治療を通じて、学生や若き医師の臨床教育及び教育研究の機能を果たす場であるための総合的医療機関であるとともに、明日への医学を拓くため現代医学の最高水準を行く設備と医療機器並びにスタッフを配し、地域医療の面でも基幹病院としてその機能を最高に発揮できるよう人的、物的体制の充実を図っています。
また、産業医学の研究を通じて、労働者の健康管理、職業病、産業中毒等の予防や診療、メンタルヘルス、リハビリテーション医学、地域完結型医療等を推進し、産業医学と地域医療との有機的な結合を図ることをめざしています。
地域において今後担うべき役割として、大学病院であることの特性を踏まえて、全診療科に対応した高度急性期・急性期医療を行い、特にがん、自己免疫疾患等の難治性疾患の診療や周産期医療の中核としての役割を担うとともに、医師派遣や教育・研究等の機能、本学設立の趣旨に沿った、専門的かつ実践的な能力を持つ産業医の養成及び治療と仕事の両立を支援するサービスの提供についても、今後も維持・充実を図ることが当院の最も大きな役割だと考えます。
加えて、地域の医療機関、介護施設等との機能分化・連携を密にした地域完結型医療を基本とした運営も地域における重要な役割と考えています。
これまで私は、私の恩師の教えである「自分や自分の家族が病気になったときに受けたい医療」の実現と後進への継承を目指して臨床・医学教育・医学研究を行ってきました。
併せて、産業医科大学病院の理念(1. 患者第一の医療を行います、2. 科学的根拠に基づく安全かつ質の高い医療を提供します、3. 人間愛に徹した優れた産業医と医療人を育てます、4.職種・職位・部門の垣根なく高い倫理観を持って互いの意見を尊重し、患者と職員の安全・安心に努めます)を実現すべく全力を傾け、院内各部門や地域医療機関と連携して、地域医療の発展に努めてきました。今後はこれまでの経験を活かして、「自分や家族が病気になったときにかかりたい」病院を目指して努力する所存です。
新型コロナウイルスの感染拡大は地球規模で広がりを見せている状況ですが、このような中でも産業医科大学病院は、あきらめない医療を目指し、皆様に頼られる病院として努力してまいりますので、引き続き皆様のご支援とご協力をお願いいたします。