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子宮頸がん

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1 病気について(概要、疫学的なものも含めて)

子宮頸がんは、子宮頸部(腟に面した子宮の出口の部分)にできるがんです。

子宮頸がんの多くは、子宮頸がん発症に関連した型のヒトパピローマウイルス(ハイリスクHPV)の感染がベースにあって発症します。喫煙はリスク因子になります。30-60歳代が好発年齢で、若年者に多い癌です。

子宮頸がんに対する治療は、基本的には手術療法か、放射線治療、あるいは組み合わせの治療を行います。頸がんの半数以上を占める扁平上皮癌は、放射線治療の治療成績が良く、手術療法と同程度の治療効果が得られます。

子宮頸がんは、前がん状態から、検診によって発見が可能なことが多いがんです。初期には無症状のことが多く、進行すると不正性器出血、性交時出血、においのあるおりもの等の症状がでます。

2 診断について

子宮頸がん検診は、20歳以上の女性には定期的に推奨される検診で、検診を受けることで子宮頸がんによる死亡のリスクを減らすことができます。子宮頸がん検診は、腟鏡(子宮の出口を観察するための器具)を挿入して、頸部をブラシなどで拭って細胞を採取する検査(細胞診)で行います。検診では前がん病変から発見することができます。

子宮頸がんを疑ったときには、細胞診の他に、コルポスコピー(拡大鏡診)で、頸部の組織を採取して、病理組織診断を行います。コルポスコピーでの組織診断では十分な診断がつかないときには、円錐切除術(子宮頸部を円錐型に切り取る小手術)を行って、組織診断を行います。癌の診断がついた時には、進行期(広がり)をみるために、直腸診やCT検査、MRI検査等を行います。

3 治療について

 1)手術療法

  (1)外科的治療

ごく初期の子宮頸がん(微小浸潤がんと呼ばれる、肉眼では診断困難な程度の早期がん)であり、病気の範囲が完全切除可能な範囲であり、出産のために子宮を温存する希望があるときには、円錐切除術のみ行って、子宮を温存することができます。

通常、浸潤がんとなった子宮頸がんに対する根治手術は、広汎子宮全摘術という、子宮頸部の周囲の組織を含めた範囲の摘出手術を行います。骨盤内リンパ節に転移することが多いがんなので、リンパ節郭清術を同時に施行します。手術適応は通常2期の進行がんまでになります。

条件を満たした比較的早期がん(Ib期、腫瘍サイズ2cmまで等)に対しては、子宮体部を温存する、子宮頸部摘出術(トラケレクトミー)という手術を施行することもあります。

  (2)鏡視下治療(ロボット支援下を含む)

当院は、通常の保険診療として、子宮頸癌に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術を行っています。適応の範囲などの説明は、当院産婦人科学教室のHP(下記)に掲載しています。

uoeh-sanfujin.com/sub/setsumei4.html

子宮頸がんに対する低侵襲手術(腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術)については、国際的に行われた臨床研究の結果、治療成績(再発率)が開腹術と比べて劣るという結果が2018年に発表されました。研究の内容には、腫瘍サイズが大きいものが含まれる等の問題点も指摘されており、鏡視下手術を全く行わない方針としてはいませんが、適応については、従来の開腹手術と同様ではなく、十分な検討と説明を行った上での施行になります。

4 内視鏡的治療

     該当なし

5 局所的治療(経皮的治療、カテーテル治療など)

     該当なし

6 薬物療法

  (1)抗がん剤

子宮頸がんに対する治療は、通常は抗がん剤よりも手術、放射線治療が優先されます。

子宮頸がんに対する放射線治療を行うときに、化学療法併用放射線治療(CCRT)という、化学療法で治療効果を上乗せさせることを期待した治療を行うことがあります。

また、手術や放射線治療が困難な進行癌や、再発治療として、子宮頸がんに抗癌剤治療を行うことがあります。

  (2)分子標的薬

再発、進行子宮頸がんに対して、化学療法を行ったときに、分子標的薬のベバシズマブを併用するほうが生存期間が延長したというデータがあり、再発、進行子宮頸がんに対して化学療法を行うときに、ベバシズマブを併用することがあります。

  (3)免疫チェックポイント阻害薬

     該当なし

  (4)ホルモン剤

     該当なし

  (5)その他

    該当なし

7 放射線療法

(1)    根治的放射線治療

小さな放射線の線源を子宮に短時間挿入する小線源治療(腔内照射)と、体の外から放射線を照射する外照射を組み合わせて行います。この組み合わせにより十分な放射線を腫瘍に限局して投与することができるため治療効果は高いです。Ib期からII期の扁平上皮癌では、根治的放射線治療は手術と同等の治療成績が得られるため、どちらの治療法も選択肢となります。III期およびIVa期では、手術は不適で根治的放射線治療のみが主たる治療となります。抗がん剤(シスプラチン)を放射線治療期間中に併用することで、治療効果の改善が得られます。

外照射から開始し11回、総25-30 (5-6週間)行います。消化管や膀胱などの周囲正常臓器への放射線の線量を低減する高精度な照射手法強度変調回転放射線治療 (VMAT)を用います。腔内照射は外照射開始後から2-4週以降に週に1回、総3-5回行います。腔内照射では子宮に器具を挿入するため、鎮静剤や鎮痛剤を用います。毎回CT画像を撮像し、腫瘍の大きさに応じて放射線の分布を最適化する画像誘導密封小線源治療 (IGBT)で行います。

さらに当院では放射線治療の治療効果を高める温熱療法(後述)の併用が可能です。

(2)    広汎子宮全摘術後の再発予防を目的とした放射線治療

広汎子宮全摘術を行い再発リスクが高い場合に、放射線治療を追加する必要があります。リンパ節転移がある場合や癌の周囲への進展が強い場合などが相当します。放射線治療の追加により、再発を生じる確率が減少し予後が改善します。放射線治療期間中に化学療法を併用することで治療効果の改善が期待できます。

当院では、高精度な強度変調回転放射線治療(VMAT)を用いることで、晩期的な腸閉塞などの副作用の発症率を軽減しています。

(3)    少数個の再発・転移に対する救済的放射線治療

膣内や骨盤内リンパ節の再発、あるいは少数個(13個程度)の遠隔転移を生じた場合に、薬物療法に加え救済的な放射線治療を選択することが可能です。遠隔転移の部位は、腹部・鎖骨上・縦隔などのリンパ節転移、肺や肝臓の転移、骨転移などが対象となります。治療した腫瘍の高い制御効果が期待できます。

(4)    緩和的放射線治療

他の臓器へ多数個の転移を生じている状況では、緩和的な放射線治療が適応となり得ます。子宮からの出血の止血や疼痛の鎮痛、また骨転移に伴う疼痛や神経症状の緩和に有効性が高いです。緩和的放射線治療に必要となる放射線量は少ないため、治療に伴う副作用は軽微です。治療期間は2週間以内が多く、状況に応じて1回のみの治療も選択可能です。

(5)     脳転移に対する放射線治療

脳転移を生じた場合に放射線治療が有効です。当院では、強度変調回転放射線治療(VMAT)を用いた定位放射線治療(ピンポイント照射)が可能です。患者さんに負担の少ない短い治療時間で、脳転移の高い制御効果が期待できます。

(6)    温熱療法 (ハイパーサーミア)

当院では、子宮頸がんに対して放射線治療や抗がん剤の治療効果を高める温熱療法を取り入れています。がんの存在する領域の皮膚表面を2方向からパットで挟み込み高周波電流を流して加温します。パット内の液体を還流させ、皮膚表面の熱感や痛みを抑えます。1回の加温時間は4060分程度で、週に1~2回、放射線治療を行っている期間中に総5回程度行います。

8 セカンドオピニオンの受け入れ

   ( 可 ) 

9 患者さんにメッセージ