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腎盂・尿管がん

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病気について

 腎盂(じんう)は、腎臓で作られた尿が最初に流れる込む場所であり、尿管はその腎盂から膀胱へと尿が流れていくためにつながる細い管のことをいいます。腎盂尿管がんとはそれらの場所に発生する悪性腫瘍です。最も多い症状として肉眼的血尿があり、なかでも他の症状を伴わず突然みられる血尿が特徴的です。また、腫瘍によって尿の通過が障害された場合、背中や横腹の痛みが起こることもあります。同じ尿路に発生する膀胱がんと比べ発生頻度は少なく(約1/7)、男女比はおよそ2:1と男性に多く、50-70歳代に好発するとされています。


診断について

 腎盂尿管がんが疑われる場合、いくつかの検査を行います。


超音波検査

 簡便に尿路の状態を観察できるため初期評価として有用な検査です。しかし、この検査では詳細な病気の把握はできません。


逆行性尿路造影

 膀胱鏡を用いて腎盂、尿管へ細いカテーテルを挿入して、カテーテルから造影剤を注入し、尿路の形態を詳しく観察します。同時にカテーテルから尿の採取が可能です。


CT検査

 腫瘍の場所や大きさ、広がりなど詳細に確認するための検査です。また、転移の有無などを確認することができます。



 その他に膀胱がん合併の有無を調べるために膀胱鏡検査をおこないます。


手術療法

外科的治療

 転移を認めない症例の場合、根治手術として腫瘍のある腎臓と尿管をすべて摘出する腎尿管全摘除術を行います。また、尿管が膀胱へつながる尿管口(膀胱の一部)も同時に切除します。


鏡視下治療(ロボット支援下を含む)

 当院ではロボット(ダビンチ)を用いた低侵襲手術を行っています。これにより、従来の開腹手術を比べて創が小さく、手術後の早期の回復が期待されます。病態に応じて、腹腔鏡手術と開腹手術を組み合わせたハイブリッド手術もおこなっています。


内視鏡的治療

 単腎(腎臓が片方しかない)や両側性にがんが発生した場合は、術後の腎機能を保つために尿管鏡を用いて内視鏡下に腫瘍のみを切除する手術を行う場合があります。

 但し、この手術は一般に悪性度の低い、小さな単発腫瘍が適応であり、それ以外の腫瘍では難しいとされます。


局所的治療(経皮的治療、カテーテル治療など)

該当なし


薬物療法

抗がん剤

 転移のある症例の場合、抗がん剤の投与が従来の標準治療となります。

 当院では主にシスプラチンという白金製剤を中心に数種類の抗がん剤を投与します(GC療法:ゲムシタビン・シスプラチン/Dose-denseMVAC療法:メソトレキセート・ビンクリスチン・ドキソルビシン・シスプラチン)。また、転移のない進行がんの場合に手術前に腫瘍を縮小させる目的や手術後に再発を予防する目的で、抗がん剤治療を積極的におこなっています。


ホルモン(内分泌)薬

該当なし


分子標的薬

該当なし


免疫チェックポイント阻害薬

 近年、免疫の働きを利用しがん細胞を排除する「がん免疫療法」が話題となっており、免疫チェックポイント阻害薬もその一つです。この治療法は様々な癌腫でその有効性が期待され、腎盂尿管がんも膀胱がんと同様に3種類の薬剤が保険適用となっています。抗がん剤の化学療法の効果を持続させるアベルマブ維持療法、抗がん剤の化学療法後進行した場合の二次治療ペムブロリズマブ療法、手術後の再発抑制効果のあるニボルマブ補助療法を早期に導入し豊富な診療経験を有しています。


その他

 上記抗がん剤による化学療法および免疫チェックポイント阻害薬に対して抵抗性となり進行した場合、新たながん治療薬である抗体薬物複合体(ADC)のエンホルツマブ・ベドチン(パドセブ)が2021年11月保険適用となりました。当院では積極的にこの薬物治療をおこない、西日本でも有数の診療実績を有しています。さらに、2024年9月にこのエンホルツマブ・ベドチンと免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブ併用療法が登場し、従来の抗がん剤による一次化学療法と同じ位置づけである未治療患者さんに保険適用となりました。当院ではいち早くこの新規薬物療法を導入し診療をおこなっています。


放射線療法

根治的放射線治療

 根治を目指す治療の適応があるものの他の疾患などにより手術が受けられない場合の根治的治療として施行できます。特に小さな腎盂がんに対しては、放射線の線量集中性の高い定位放射線治療 (ピンポイント照射)を行うことで高い根治率が期待できることが分かっています。近年、保険収載されており当院で実施可能です。


少数個の再発・転移に対する救済的放射線治療

 治療した腎臓・尿管や腹部リンパ節の再発、または少数個(1~3個程度)の遠隔転移を生じた場合 (オリゴ転移) に、薬物療法に加えて救済的な放射線治療を選択することが可能です。遠隔転移の部位は、骨転移、肺や肝臓の転移、また骨盤・縦隔・頸部リンパ節転移などが対象となります。治療した腫瘍の高い制御効果が期待できます。


脳転移に対する放射線治療

 脳転移を生じた場合に放射線治療が有効です。当院では、強度変調回転放射線治療(VMAT)を用いた定位放射線治療(ピンポイント照射)が可能です。患者さんに負担の少ない短い治療時間で、脳転移の高い制御効果が期待できます。


緩和的放射線治療

 他の臓器へ多数個の転移を生じている状況では、緩和的な放射線治療が適応となり得ます。腎がんによる血尿や疼痛、また骨転移に伴う疼痛や神経症状といった症状の緩和に有効性が高いです。緩和的放射線治療に必要となる放射線量は少ないため、治療に伴う副作用は軽微です。治療期間は2週間以内が多く、状況に応じて1回のみの治療も選択可能です。通院が困難な方は、放射線治療科で入院治療も対応させて頂きます。


温熱療法 (ハイパーサーミア)

 当科では、腎盂・尿管がんに対して放射線治療や抗がん剤の治療効果を高める温熱療法を取り入れています。がんの存在する領域の皮膚表面を2方向からパットで挟み込み高周波電流を流して加温します。パッド内の液体を還流させ、皮膚表面の熱感や痛みを抑えます。1回の加温時間は40~60分程度で、週に1~2回、放射線治療を行っている期間中に総5回程度行います。


セカンドオピニオンの受け入れ

(   可   )


患者さんにメッセージ

 当院ではこれまでに多くの患者さんの治療に携わってきました。その治療経験や最新の知見を基に、それぞれの患者さんに適した最良の治療を提供できるよう努めています。

些細なことでもお気軽にご相談ください。



産業医科大学 医学部 泌尿器科学

https://uoeh-uro.com/


産業医科大学病院 放射線治療科

https://www.radiationoncol.com/