腎がん
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病気について
腎がんは腎臓の実質から発生する悪性腫瘍です。人口10万人に対して男性約8人、女性約4人が罹患し、好発年齢は40-70歳です。
診断について
画像診断として、造影剤を用いたCT検査が行われます。ほとんどの場合CT検査で腎がんの診断が可能ですが、難しい場合はMRI検査を追加、診断補助としての腫瘍の一部を針で採取する(生検)こともあります。
手術療法
外科的治療
腫瘍が非常に大きい場合、周囲の臓器にまで病変が及んでいる場合や、腎がんが血管(腎静脈や下大静脈)の中にまで及んでいる場合は、次項に挙げるロボット支援下手術や腹腔鏡下手術では手術操作のスペースを確保できないため、開腹による手術をおこなうことが多いです。近年では手術アプローチそれぞれの利点を活かして、鏡視下手術(ロボット支援下・腹腔鏡下)と開腹手術を組み合わせたハイブリット手術もおこなっています。また場合によっては、消化器外科や心臓血管外科の医師と協力して手術をおこなうこともあります。
鏡視下治療(ロボット支援下を含む)
現在当院では腎がんに対する多くの手術をロボット(ダビンチ)を用いておこなっています。また、小さな腎がんに対しては、がんを含めた腎臓の一部を切除するロボット支援下腎部分切除術を積極的におこなっており、患者さんの腎臓の機能温存や身体への負担軽減に努めています。
腹腔鏡手術は皮膚切開創が開腹手術よりも少なく、美容的にも優れ、手術後の疼痛も開腹手術に比べ軽いのが特徴です。さらにダビンチ手術では従来の腹腔鏡手術より精度の高い手術が可能となっています。
内視鏡的治療
該当なし
局所的治療(経皮的治療、カテーテル治療など)
腎がんに対する経皮的治療として凍結療法、ラジオ波焼灼療法(保険未適応)が挙げられますが、当院ではおこなっていません。まれですが、腎がんは腫瘍が破裂することや、持続的な血尿を生じることがあります。その際は血管カテーテル治療を行い、止血処置をおこないます。
薬物療法
おもに手術で完全に摘出できない、もしくは転移を有する腎がんに対しては、以下に挙げる薬物療法を積極的におこなっています。
抗がん剤
該当なし
ホルモン(内分泌)薬
該当なし
分子標的薬
現在日本で保険適応を受けている全ての分子標的薬が当院でも使用可能です。2008年の分子標的薬の登場以後、当院では多くの使用経験があり、個々の患者さんに応じた最適な薬剤の選択、副作用に対する迅速、適切なマネジメントを心掛けています。
免疫チェックポイント阻害薬
当院では現在腎がんに対して適応のある免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブとイピリムマブ併用療法の多数の診療経験があります。また、近年では免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬を組み合わせた新規治療も登場し、日本で保険適応のあるすべての併用療法も積極的におこなっています(ペムブロリズマブ・レンバチニブ併用、ニボルマブ・カボザンチニブ併用、アベルマブ・アキシチニブ併用・ペムブロリズマブ・アキシチニブ併用)。また免疫チェックポイント阻害薬は多彩な副作用が生じる可能性があることが知られていますが、当院では複数の診療科の医師、看護師、薬剤師などから構成される対応チームを有しており、免疫チェックポイント阻害薬という従来の薬剤とは全く異なった薬剤を適切、安全に投与できるよう病院をあげて尽力しています。
放射線療法
根治を目指す治療の適応があるものの他の疾患などにより手術が受けられない場合の根治的治療として、強度変調放射線治療(IMRT)などの高精度放射線治療を施行できます。また、血尿や骨転移に伴う疼痛などの症状の緩和にも有効です。良好な治療効果を期待し温熱療法の併用を行うこともあります。薬物療法と同時に行うことも多く、泌尿器科と放射線治療科が連携して行います。
セカンドオピニオンの受け入れ
( 可 )
患者さんにメッセージ
当院では現在本邦で保険適応となっている腎がんの治療のほとんどをおこなうことができます。また、これまでに多くの患者さんの治療に携わっており、その治療経験や最新の知見を基に腎がんの治療の中から、患者さん個々の病状、体調に応じた最善の治療を提案します。些細なことでもお気軽にご相談ください。
産業医科大学 医学部 泌尿器科学
産業医科大学病院 放射線治療科
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