腎がん
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1 病気について(概要、疫学的なものも含めて)
腎がんは腎臓の実質から発生する悪性腫瘍です。人口10万人に対して男性約8人、女性約4人が罹患し、好発年齢は40-70歳です。
2 診断について
画像診断として、造影剤を用いたCT検査が行われます。ほとんどの場合CT検査で腎がんの診断が可能ですが、難しい場合はMRI検査を追加したり、腫瘍の一部を針で採取する(生検)こともあります。
3 治療について
1)手術療法
(1)外科的治療
腫瘍が大きい場合、周囲の臓器にまでがんが及んでいる場合や、腎がんが血管(腎静脈や下大静脈)の中にまで及んでいる場合は、次項に挙げる腹腔鏡下手術では手技が難しく危険が大きいため、開腹による手術をおこないます。また場合によっては、消化器外科や心臓血管外科の医師と協力して手術をおこなうこともあります。
(2)鏡視下治療(ロボット支援下を含む)
現在当院では腎がんに対する多くの手術が腹腔鏡を用いておこなっています。また、小さな腎がんに対しては、がんを含めた腎臓の一部を切除する腎部分切除術を積極的におこなっており、この手術にはロボット(ダビンチ)を用います。
腹腔鏡手術は皮膚切開創が開腹手術よりも少なく、美容的にも優れ、手術後の疼痛も開腹手術に比べ軽いのが特徴です。さらにダビンチ手術では従来の腹腔鏡手術より精度の高い手術が可能となっています。
4 内視鏡的治療
なし
5 局所的治療(経皮的治療、カテーテル治療など)
腎がんに対する経皮的治療として凍結療法、ラジオ波焼灼療法(保険未適応)が挙げられますが、当院ではおこなっていません。
6 薬物療法
おもに手術で完全に摘出できない、もしくは転移を有する腎がんに対しては、以下に挙げる薬物療法を積極的におこなっています。
(1)抗がん剤
なし
(2)分子標的薬
現在日本で保険適応を受けている6剤全ての分子標的薬が当院でも使用可能です。2008年の分子標的薬の登場以後、当院では多くの使用経験があり、個々の患者さんに応じた最適な薬剤の選択、副作用に対する迅速、適切なマネジメントを心掛けています。
(3)免疫チェックポイント阻害薬
当院では現在腎がんに対して適応のあるオプジーボ(ニボルマブ)療法やオプジーボとヤーボイ(イピリムマブ)の併用療法ともに、積極的におこなっています。また本薬剤は多彩な副作用が生じる可能性があることが知られていますが、当院では複数の診療科の医師、看護師、薬剤師などから構成される免疫チェックポイント阻害薬に関するチームを有しており、免疫チェックポイント阻害薬という従来の薬剤とは全く異なった薬剤を適切、安全に投与できるよう病院をあげて尽力しています。
(4)ホルモン剤
なし
(5)その他
なし
7 放射線療法
根治を目指す治療の適応があるものの他の疾患などにより手術が受けられない場合の根治的治療として、強度変調放射線治療(IMRT)などの高精度放射線治療を施行できます。また、血尿や骨転移に伴う疼痛などの症状の緩和にも有効です。良好な治療効果を期待し温熱療法の併用を行うこともあります。薬物療法と同時に行うことも多く、泌尿器科と放射線治療科が連携して行います。
8 セカンドオピニオンの受け入れ
( 可 )
9 患者さんにメッセージ
当院では現在本邦で保険適応となっている腎がんの治療のほとんどをおこなうことができます。また、これまでに多くの患者さんの治療に携わっており、その治療経験や最新の知見を基に腎がんの治療の中から、患者さん個々の病状、体調に応じた最善の治療を提案します。些細なことでもお気軽にご相談ください。
産業医科大学 医学部 泌尿器科学講座 診療につきまして