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午後

13時00分~14時30分 (形成外科、一部専門外来)

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午後 13時00分~14時30分

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休診日

土・日祝日、年末・年始
(12月29日~1月3日)
開学記念日:4月28日

小児外科ー主な対象疾患についてー

①鼠径ヘルニア

1)小児鼠径ヘルニアとは0001.jpg

俗に「脱腸」と呼ばれる頻度の多い病気です。胎児期に鼠径部にあるサック状の腹膜の穴(腹膜鞘状突起)は生まれる前後で自然に閉じますが、これが開いたままだと、腸や卵巣、大網などが落ち込んで、足のつけねが膨らんで鼠径ヘルニアになります。はまりこんだ臓器が血行障害を起こすことを嵌頓(かんとん)と呼び、これは急いで戻す必要があります。なるべく嵌頓を起こす前に手術を行います。当院では予防接種が一段落した生後45ヶ月頃に全身麻酔下に手術を行っています。

 

2)手術

小児の鼠径ヘルニアの手術は、ヘルニアの袋の根元を縛るだけす。

成人のような人工の布での補強は必要ありません。

以前は、皮膚や腱膜を切って直接袋を縛る手術をしていましたが(従来法)、

 当院では腹腔鏡で観察しながら専用の針でヘルニアの穴を閉じてしまう方

 LPEC)を行っています。この手術は傷跡が目立たず、痛みも軽度です。

従来の方法では、術後に反対側のヘルニアがでてくる確率が510%あり

たが、腹腔鏡で見て反対側にも穴があれば同時に手術できます。

慣れた術者が行えば、腹腔鏡でも時間が延長することはありません。

                                                                                                              ■ LPEC法動画(男児)

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停留精巣

1)停留精巣とは4.jpg

陰嚢の中にいつも精巣(睾丸)を触れない病気です。放置すると精子を作る細胞が障害を受けて不妊症の原因になります。生まれた時に触れなくても生後半年くらいまでは自然に降りてくることもありますが、降りてこなければ通常1歳前後で手術を行います。

2)手術

鼠径部を切って精巣を陰嚢まで引き下ろす手術を行いますが、程度が軽ければ、陰嚢のみの傷でも手術ができます。鼠径部に精巣を触れない場合はお腹の中にある場合もあり、腹腔鏡を使用した特殊な手術になります。

 

 

 

 

③臍ヘルニア

へその緒が取れた後に、左右の筋肉の間にある穴から腸などが飛び出してきて、おへその皮膚が隆起することを臍ヘルニアと呼びます。この穴は1歳までに自然に閉じることが多いですが、いつもお臍が飛び出ていると皮膚が伸びて見た目が悪い臍になります。大きな臍ヘルニア(直径2cmが目安)では、写真のようにスポンジで蓋をしてフィルムテープで固定する保存的治療を行なっています。生後12ヶ月までに始めるとよく治りますが、生後6ヶ月を超えるとあまり効果がないようです。12歳を越えてもヘルニアが残っている場合は、家族の希望があれば手術を行います。手術はいつでもできますが、年齢が小さい方(13歳程度)が痛みは少ないようです。

 

   生後2ヶ月男児       スポンジ圧迫固定療法          治療後1ヶ月後(右)

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④肛門周囲膿瘍

肛門周囲膿瘍とは肛門のまわりが赤く腫れて膿をもつ病気です。これはほぼ男児にのみ起こり、生後1ヶ月すぎ頃からの赤ちゃんで見られます。肛門の左右が好発部位で複数あることもあります。写真のように皮膚が薄くなったものは外来で切開しますが、漢方薬がよく効くため赤ちゃんでも積極的に投与します。いったん治っても再発しやすいですが、1歳をすぎると出てこなくなります。ただし治りきらずに痔瘻となることもあります。痔瘻にも漢方がよく効くため小児では手術することはまれです。

 

  男児のあかちゃんの肛門周囲膿瘍    膿瘍切開排膿後3日目の状態

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急性虫垂炎

1)急性虫垂炎とは10.jpg

大腸の端にある虫垂に炎症が起こると虫垂炎になります。「盲腸」と呼ばれますが、盲腸はその根元の大腸の部分です。便からできた糞石が詰まって内容が停滞し、細菌が増えて炎症を起こすことが多いです。小・中学生に多い病気ですが、幼児でも起こる病気です。

症状は歩くとひびく右下腹部の痛みが典型的ですが、進行すると破れて腹膜炎を起こすこともあり、腹膜炎では高熱と水様下痢を呈することもあります。血液検査や超音波検査、腹部CT検査などで診断できます。

2)急性虫垂炎の治療 

治療は炎症が軽い時や糞石のない虫垂炎は抗生剤で治せることもありますが、症状の強い場合や糞石のある場合は手術を行う施設が多いです。小児の手術は通常腹腔鏡下に行いますが、進行してなければお臍の傷だけでも手術が可能です(図1)。進行例ではお臍と他に二箇所の傷から道具を入れて手術します(図2)。穿孔してなければ術後24日で退院できます。虫垂が破れて膿の貯まり(膿瘍)を作っ場合は、抗生剤で炎症を抑えてからいったん退院し、23ヶ月後に手術する場合もあります。

 

図1 軽度の虫垂炎(お臍の傷だけで手術)

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図2 進行した虫垂炎(根元を縛って切る直前、傷は三箇所)

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図3 膿瘍を形成した虫垂炎

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腸重積症15.jpg

1)腸重積症とは 

腸重積とは腸が腸の中にめくりこまれた状態なることです。生後6ヶ月〜23までに多く、間欠的腹痛(痛くなったり良くなったりを繰り返す)が特徴で、進行すると血便がでます。超音波検査を行えば診断は容易ですが、発症後時間が経つと重症となることがあります。

2)腸重積症の治療(高圧浣腸)
治療は、X線透視下に空気や造影剤をおしりから注入して重積部を押し戻します。はまり込み方が強い場合は、手術になる場合もあり、診断と治療を急ぐ病気です。

 

 

 

  大腸の中に小腸が入り込んでいる(手術時) 腸重積の診断:カニ爪サイン

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 腸重積症に対する空気整復(重積した部分を押し戻して、小腸まで空気が入れば完了)

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(更新日 平成30年9月20日)