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悪性胸膜中皮腫

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病気について

 胸膜(きょうまく)、つまり胸の奥の肺の表面などを覆っている膜、にできる悪性腫瘍(がん)を悪性(あくせい)胸膜中皮腫(きょうまくちゅうひしゅ)と言います。アスベスト曝露(ばくろ)が原因で、アスベスト曝露から20-40年後に発生するといわれています。年間の患者数は日本全国で2,000名以下と、比較的まれな悪性腫瘍です。


診断について

 最初は胸に水(胸水(きょうすい))が貯まることが多いため、これによる咳や胸の痛み、といった症状が出ることが多いです。これらの症状がある場合、特に造船業・建築業等のアスベスト曝露の可能性のある職業に就いていた方の場合、胸膜中皮腫の可能性があるため胸のレントゲン写真を撮ってもらいましょう。レントゲンで胸に水が貯まっている場合には、針を刺して水を抜いて細胞検査を行います。細胞検査だけでは胸膜中皮腫の診断は難しいことが多いため、多くの場合は確実な診断のために胸の中にカメラ(胸腔鏡(きょうくうきょう))をいれて胸膜を採取して検査を行います。胸膜中皮腫の診断が確定したら、全身のCT検査などで病気の広がりを検討して治療方針を決定します。


治療について

 悪性胸膜中皮腫の特徴は、腫瘍が発生すると速やかに胸膜表面を胸全体に広がることです。このために、腫瘍が発生した側の胸膜全体を切除する手術は大変負担の大きな手術になりますし、胸全体に放射線治療を行うことも困難となります。


手術療法

外科的治療

 これまでは腫瘍に侵された胸膜をこれに包まれた肺とともに摘出する手術(胸膜肺全摘除術EPP)が標準的に行われていました。しかしながら中皮腫が発生した側の肺を全部摘出するため、手術の負担が非常に大きく、手術が可能な患者さんは限られていました。これに対し最近、腫瘍に侵された胸膜を肺から剥がして摘出する胸膜切除/肺剥皮手術(P/D)が行われるようになってきました。この手術の利点は肺を残すことができる点ですが、高度の技術が必要とされます。当院では約12年前よりP/Dを標準手術として採用して実施しており、最近では手術法の改良(“non-incisional P/D”)にも取り組み安全に手術を実施しています。


内視鏡的治療

該当なし


局所的治療(経皮的治療、カテーテル治療など)

該当なし


薬物療法

抗がん剤

 シスプラチンとペメトレキセドの併用が悪性胸膜中皮腫に対して有効性が確立している唯一の抗がん剤です。シスプラチンは腎臓の毒性などが強いため、腎臓機能が低下している場合にはシスプラチンの代わりにカルボプラチンが使われます。


ホルモン(内分泌)薬

該当なし


分子標的薬

該当なし


免疫チェックポイント阻害薬

 PD-1やCTLA-4という免疫を抑える分子を阻害するニボルマブやイピリムマブが悪性胸膜中皮腫に対して使えます。


放射線療法

 胸膜全体に放射線を当てると肺への強い障害が起こるため、このような放射線治療は胸膜肺全摘除術(EPP)の後などに限って行われます。部分的に腫瘍が大きくなって痛みなどが強い場合は、その部分だけに絞って症状を和らげるために放射線治療が行われます。


手術療法後の再発予防を目的とした放射線治療

 手術で摘出した悪性胸膜中皮腫の遺残がある場合、周囲への浸潤が強い場合などに、再発予防を目的とした放射線治療を行います。


少数個の再発・転移に対する救済的放射線治療

 治療した胸膜の再発、または少数個(1~3個程度)の遠隔転移を生じた場合に、薬物療法に加え救済的な放射線治療を選択することが可能です。


緩和的放射線治療

 悪性胸膜中皮腫による疼痛、呼吸苦や神経症状といった症状の緩和に有効性が高いです。緩和的放射線治療に必要となる放射線量は少ないため、治療に伴う副作用は軽微です。治療期間は2週間以内が多く、状況に応じて1回のみの治療も選択可能です。


温熱療法 (ハイパーサーミア)

 当院では、悪性胸膜中皮腫に対して放射線治療や抗がん剤の治療効果を高める温熱療法を取り入れています。がんの存在する領域の皮膚表面を2方向からパットで挟み込み高周波電流を流して加温します。パッ ト内の液体を還流させ、皮膚表面の熱感や痛みを抑えます。1回の加温時間は40~60分程度で、週に1~2回、放射線治療を行っている期間中に総5回程度行います。


セカンドオピニオンの受け入れ

(   可   )


患者さんにメッセージ

 悪性胸膜中皮腫は比較的まれで、また手術等の治療も技術的に難しいとされています。当院では豊富な経験を生かして、治癒をあきらめない積極的な治療に取り組んでいます。特に、肺を残して腫瘍に侵された胸膜のみを切除する新しい術式(“non-incisionalP/D)は高い評価を得ています。是非、ご相談ください。



産業医科大学 医学部 第2外科学

http://www.kitakyusyu-gan.jp/homepage/sinryou_kokyu_kyou.html


産業医科大学 医学部 呼吸器内科学

https://uoeh-kokyuki.org/index.html