お知らせ

■ 当院の新型コロナウイルス対策
  安全安心な医療を提供 安心して病院をご利用ください
  患者さんへのお知らせとお願い

■ 開館時間は8時15分です

■ 2023年3月13日以降も引き続き病院内では必ずマスクを着用してください

診療受付時間のご案内

受付時間
 ※診療科ごとに診療日が異なりますのでご注意ください。
初診 午前 8時30分~11時00分
午後

13時00分~14時30分 (形成外科、一部専門外来)

再診 午前 8時30分~11時00分
午後 13時00分~14時30分

診療日を確認する


休診日

土・日祝日、年末・年始
(12月29日~1月3日)
開学記念日:4月28日

縦隔腫瘍

呼吸器・胸部外科講座ホームページはこちら

呼吸器内科講座ホームページはこちら 

 

1 病気について(概要、疫学的なものも含めて)

    縦隔(じゅうかく)とは、両側の肺に囲まれている空間です。縦隔には心臓や大血管や食道や気管や胸腺(きょうせん)が存在しています。縦隔(じゅうかく)腫瘍とは、これらの縦隔内臓器に発生した腫瘍の総称です。縦隔腫瘍は一般的に比較的まれな腫瘍です。良性の腫瘍や神経(しんけい)原性(げんせい)腫瘍、悪性の腫瘍である胸腺腫(きょうせんしゅ)、胸腺がん、(はい)細胞性(さいぼうせい)腫瘍などがあります。縦隔腫瘍で手術を受けた症例をまとめた報告によると、最も多かったものは胸腺腫で、縦隔腫瘍の全体の約40%を占めていました。次いで多かったのはのう胞で15%、神経原生腫瘍が13%となっています。悪性度の高い腫瘍では、胚細胞性腫瘍が全体の約8%、胸腺がんと悪性リンパ腫がともに約5%でした

2 診断について

  縦隔腫瘍は、健康診断の胸部単純エックス線写真やCTを撮影したときに偶然にみつかることがあります。胸部単純エックス線写真では心臓に重なるため、発見が難しい場合もあります。腫瘍の大きさが小さい段階では無症状のことが多く、腫瘍が大きくなると臓器を圧迫や浸潤して咳、息苦しさ、(じょう)大静脈(だいじょうみゃく)の閉塞によるむくみや、声のかすれ、交感神経障害症状(まぶたの低下、瞳孔の縮小、発汗の異常)などが出ることがあります。また、腫瘍の種類によって血液検査で特徴的な異常を示すものもあり、腫瘍マーカーとして診断に有用です。治療方針を決定する上で、どの種類の腫瘍ができているのかが重要となるため、外部から針を刺して組織を採取し(生検)、顕微鏡による診断(病理診断)を行います。縦隔腫瘍は胸骨(きょうこつ)の裏に存在し、診断がつけにくい場所であるので、診断をつけるために手術を行う必要がある場合があります。

3 外科的治療

  縦隔腫瘍は良性であっても、大きくなると血管や心臓などの縦隔の臓器を圧迫するこ

とや、悪性腫瘍の可能性があることより、手術で腫瘍を切除し診断をつけることがあります。縦隔腫瘍の手術は従来から胸骨という前胸壁(ぜんきょうへき)にある骨を縦に20cm程、切開することにより、手術が行われてきました。良い点は視野が良く、操作性が良いことですが、傷が大きい事や胸骨を切らなければいけないことが課題でした。

  (2)鏡視下治療(ロボット支援下を含む)

   近年では胸腔(きょうくう)(きょう)というカメラを用いて、左右の胸腔を経由して縦隔にアプローチす

ることが可能となりました。また、20184月からは、ロボット支援下手術も保健診療となり、当科では積極的にロボット支援下手術を行っています。ロボット支援下手術では剣状(けんじょう)突起(とっき)の下に2−3cmの切開と8mm程度の穴を用いて、精密な手術を行うことができます。

 

4 内視鏡的治療

縦隔腫瘍に対しては内視鏡的治療は一般的には行われません。

5 局所的治療(経皮的治療、カテーテル治療など)

縦隔腫瘍に対しては局所的治療は一般的には行われません。

6 薬物療法

(1)抗がん剤

  悪性の縦隔腫瘍である胸腺腫や胸腺がんに対しての抗がん剤治療は科学的な根拠は明確ではありませんが、従来から、抗がん剤であるシスプラチンやアンスラサイクリン系の抗がん剤が用いられます。

  (2)分子(ぶんし)標的(ひょうてき)(やく)

 縦隔腫瘍に対する分子標的治療薬は保健適応がありません。

  (3)免疫チェックポイント阻害薬

 縦隔腫瘍に対する免疫チェックポイント阻害薬は保健適応がありません。

  (4)ホルモン剤

 縦隔腫瘍に対するホルモン剤は保健適応がありません。

  (5)その他

  重症筋(じゅうしょうきん)無力症(むりょくしょう)を合併する胸腺腫の患者さんの場合、手術適応となります。手術のさいには、拡大胸腺摘出術を行い、症状を軽減することが可能となる症例があります。

7 放射線療法

  悪性の縦隔腫瘍である胸腺腫や胸腺がんなどが進行していたり、手術後に再発した場合に放射線治療を行う場合があります。

8 セカンドオピニオンの受け入れ

   ( 可 ) 

9 患者さんにメッセージ

 我々は、縦隔腫瘍の位置や種類や進行度を考慮して、低侵襲(ていしんしゅう)で、かつ根治することができる治療法を行うために、症例により手術方法や治療法を検討して、一人一人の患者さんに最適な治療法を選択しています。是非、ご相談ください。