眼・眼窩の腫瘍
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病気について
眼部にできる腫瘍は大きく分けて、まぶたの腫瘍(眼瞼腫瘍)、白目や赤目の腫瘍(結膜腫瘍)、眼の中の腫瘍(眼内腫瘍)、眼の後ろの腫瘍(眼窩腫瘍)があります。それぞれの組織から良性あるいは悪性腫瘍(いわゆる癌)が発生します。またそれらのどこにでもできる可能性のあるものとして悪性リンパ腫、転移性腫瘍があります。
眼瞼腫瘍
良性腫瘍には、尋常性疣贅(いぼ)、母斑(ほくろ)、乳頭腫などがあり、いずれも整容上あるいは機能上の問題があれば、手術の適応となります。悪性腫瘍は眼の腫瘍の中では頻度が高く、基底細胞癌、扁平上皮癌、脂腺癌があります。
結膜腫瘍
良性腫瘍には乳頭腫などがあり、悪性腫瘍には上皮内癌、扁平上皮癌、悪性黒色腫、MALTリンパ腫などがあります。
眼内腫瘍
良性腫瘍には脈絡膜母斑、脈絡膜血管腫、毛様体嚢腫や毛様体腺腫などがあり、悪性腫瘍には脈絡膜悪性黒色腫、網膜芽細胞腫(小児の眼の腫瘍参照)、悪性リンパ腫、転移性腫瘍などがあります。脈絡膜悪性黒色腫は国内で年間30名ほどに発症するまれな癌です。初期には視力低下をきたさない場合もあります。
眼窩腫瘍
良性腫瘍には神経鞘腫、髄膜腫、神経線維腫、海綿状血管腫、涙腺腫瘍、視神経膠腫などがあります。悪性腫瘍には悪性リンパ腫、肉腫、転移性腫瘍があります。眼球突出、眼瞼下垂などのほか、視力低下や視野狭窄、複視(物が二重に見えること)の症状がでる場合があります。
診断について
眼瞼腫瘍
診断のために腫瘍の一部をとって病理検査を行う場合と、最初から腫瘍全体を切除する場合があります。その他、CT、MRI検査も行われます。
結膜腫瘍
良性と悪性の判別は、細隙灯顕微鏡検査である程度推測が可能ですが、確定診断には病理診断が必要になります。
眼内腫瘍
眼底検査、蛍光眼底造影検査、光干渉断層計検査などが一般的に行われます。その他、超音波断層検査、CTやMRIなどが行われます。眼内液を採取して腫瘍マーカーを測定したり、病理検査を行ったりする場合もあります。
眼窩腫瘍
視力検査など一般的な眼科検査のほか、視野検査、眼球運動検査、眼位検査(眼の位置、向きの検査)、眼球
突出度測定検査などが行われます。また腫瘍の大きさや性状などを調べるためにMRIやCTが行われます。
MRIは腫瘍の性質を知る
のために有用で、CTは腫瘍の石灰化や腫瘍の骨浸潤を調べるのに有用です。
治療について(手術療法)
眼瞼腫瘍
治療の原則は一部正常組織を含めて腫瘍を完全に切除することです。球結膜や眼窩内に腫瘍が広がっていなければ、眼球は残して眼瞼だけの治療を選択します。腫瘍切除後は、形態だけではなく眼の機能も考えた再建を行います。再発した場合には再手術もしくは放射線治療が検討されます。
結膜腫瘍
比較的大きな悪性腫瘍であれば一部正常組織を含めて腫瘍を完全に切除します。MALTリンパ腫で眼だけに腫瘍がある場合には、外科的切除を行うか放射線治療を行うかは、治療の効果と副作用を考えて治療法を決めます。眼以外の部位に病変がある場合は全身のリンパ腫としての対応が必要です。
眼内腫瘍
良性の毛様体嚢腫や毛様体腺腫では視機能に影響を与える場合には手術で切除します。脈絡膜悪性黒色腫では腫瘍の大きさや転移の有無などにより治療方法が異なります。腫瘍が大きい場合は眼球摘出となりますが、そうでなければ放射線治療による眼球温存治療を行ったり、全身化学療法を行ったりする場合があります。
眼窩腫瘍
病変を摘出あるいは縮小させることにより視機能を維持すること、および整容面の改善を図ることです。悪性腫瘍の場合には救命が第一目的となります。外科的切除は脳神経外科との連携で行われます。
内視鏡的手術
該当なし
局所的治療(経皮的治療、カテーテル治療など)
眼内の良性腫瘍である脈絡膜血管腫では、レーザー治療を行って腫瘍の縮小を試みます。
薬物療法
抗がん剤
悪性リンパ腫、転移性腫瘍や悪性黒色腫などでは、他科と協力して全身の抗がん剤による治療が行われる場合があります。眼内悪性リンパ腫では、免疫抑制剤(メトトレキサート)の硝子体内への注射を行う施設もあります(当科では行っていません)。
ホルモン剤
炎症性疾患や悪性リンパ腫では副腎皮質ステロイドの治療を行う場合があります。
分子標的薬
該当なし
免疫チェックポイント阻害薬
該当なし
放射線療法
眼・眼窩領域の腫瘍で放射線治療が行う疾患としては、脈絡膜転移、網膜芽細胞腫、悪性リンパ腫、脈絡膜悪性黒色腫などが挙げられます。
放射線治療の利点は眼球を温存できる点、視力の維持や改善を図れる点です。このため、網膜・視神経といった視力に関係する重要な組織や、水晶体のような放射線の影響を受けやすい臓器に照射される放射線量を十分に減らす必要があります。当院では、強度変調放射線療法
(IMRT)と呼ばれる高精度な放射線治療を行っています。より高い腫瘍の制御効果と副作用リスクの軽減が期待できます。
セカンドオピニオンの受け入れ
( 不可 )