その他の小児固形がん
小児科講座ホームページはこちらへ
1 病気について(概要、疫学的なものも含めて)
小児がんは、子どもがかかる様々ながんの総称です。主に白血病をはじめとする血液腫瘍と、固形腫瘍に分けられます。固形腫瘍の中には神経芽腫、腎芽腫、肝芽腫、軟部肉腫(横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、骨肉腫)などが挙げられます。特に、神経芽腫、腎芽腫、肝芽腫など「芽腫」と呼ばれるがんの原因は、胎児の体の神経や腎臓、肝臓などになるはずだった細胞が、胎児の体ができあがった後も残っていて、異常な細胞(がん細胞)に変化し、増えていった結果と考えられています。
一般的に大人のがんとは異なり、生活習慣にがんの発生原因があると考えられるものは少ないと考えられています。
2 診断について
腫瘍発生部位の確認や病期分類のために超音波(エコー)検査やCT検査、MRI検査などが行われます。また腫瘍の種類によっては腫瘍マーカーが診断や治療効果判定に有用なものもあります。
遠隔転移巣の有無も重要な予後因子になるため、骨転移の確認のため骨シンチグラフィなどの画像検査、骨髄転移の有無を調べるために骨髄検査も行われます。最終診断は組織生検(腫瘍の一部を切り取ること)で行われます。
3 治療について
1)手術療法
(1)外科的治療
当院の外科もしくは九州大学小児外科と連携して行います
4 内視鏡的治療
該当せず
5 局所的治療(経皮的治療、カテーテル治療など)
該当せず
6 薬物療法
(1)抗がん剤
確定診断後、多剤併用化学療法(抗がん剤)を行います。
7 放射線療法
放射線治療の役割は、根治照射(腫瘍を消失させる)、術前・術後照射(根治率を高める)、緩和照射(症状を和らげる)などに分けられます。小児固形腫瘍に対する放射線治療の役割は、術後照射が主なものになります。手術および病理診断の結果をもとに、放射線治療が必要な症例に放射線治療を併用します。放射線を照射する範囲や放射線の量は、それまでの治療に対する反応や、手術の結果などを基に決められます。
他臓器転移(肝臓・肺・脳など)がある児でも、転移の数が少ない場合、手術を行うことがありますが、放射線治療で根治を目指すこともあります。特に脳転移や肺転移などに対する定位放射線治療(ピンポイント照射)は体の負担が少なく手術に近い局所制御が得られます。(転移巣に対する根治照射)
骨転移による痛みや腫瘍からの出血、腫瘍による腸管閉塞、腹部や骨盤部のリンパ節転移による浮腫・痛みなどさまざまな生活の質(QOL)を悪化させる原因がある場合、放射線治療は症状を和らげたり取り除いたりするのにも効果が期待できます。(緩和照射)
現在当院放射線治療科では、患児の状況によって、強度変調放射線治療(IMRT)や定位放射線治療(SRS,SRT)などの高精度放射線治療を積極的に行い、治療効果を上げ、副作用を軽減するよう努めています。
8 セカンドオピニオンの受け入れ
( 可 )
9 患者さんにメッセージ
当教室は小児血液・がん専門医研修施設として、小児がん拠点病院である九州大学とも連携しながら小児がんのお子さんの治療を行っています。患者さんのみならず、ご家族そして兄弟のサポートも行えるよう、チーム一丸となって診療に取り組みます。