集中治療部 入局希望の方へ
わが国における集中治療は40年ほど前に術後の患者管理 Surgical ICU)と心筋梗塞などの患者を管理するCCUから始まりました。しかし、いまや集中治療は術後や循環器患者の管理に留まらず、小児を対象とするPICU、救命救急センターにおける救急ICU、脳卒中患者に対するStroke care unitなど多様な集中治療の場があります。
近年の医学教育では“臓器別”“専門的診療”の教育が盛んに行われていますが、集中治療領域では、“内科系・外科系を問わず、”全身を診る“ことが求められます。呼吸・循環・代謝など包括的に患者の生理・病態生理を把握・診断して、各種の急性臓器不全に対し、総合的・集中的に治療を実践して回復させることが集中治療医の目標です。
集中治療の歴史まだ約40年と浅く、全国的にも集中治療医は少ないのが現状です。しかしこれからの高度医療の発展には集中治療医の存在が必須のものとなることは明らかです。集中治療領域の発展のためにはやる気のある若手の参入が必須です。みなさんが仲間に加わってくれることを心より切に願っております。
業務内容
勤務時間 日勤 8:30~17:30
夜勤 16:00~翌 9:00
日勤朝8:30から申し送り(平日のみ、土日祝日については夜勤者同士で9:00申し送り)
ICUに入室している全ての症例について、当直医からスタッフ全員に意識状態、呼吸状態、循環状態、感染、栄養管理について簡潔に申し送りを行っている。
ラウンド 9:00~9:30
当日のスーパーバイザーを中心に全入室患者を回診する。呼吸・循環動態の評価を行うのはもちろんですがFAST HUG [Feeding (栄養), Analgesia, Sedation, Thrombosis (血栓予防), Head up, Ulcer (ストレス潰瘍予防), Glucose (血糖コントロール)]をチェックし当日の治療方針を検討しています。電子カルテや検査データだけに頼らずバイタルサインや理学所見を重視した状態評価を常に心がけています。
10:00~12:00 各診療科主治医とのICUカンファレンス(毎日)
各診療科の主治医と、治療方針などを確認する。呼吸管理、循環管理、感染管理や栄養管理などについて当日の集中治療部スーパーバイザーを中心にディスカッションを行い当日の治療方針を検討している。
必要に応じICU内にて心臓・腹部エコー検査や気管支鏡検査等各種検査を適宜行う。
人工呼吸器管理を行っている症例では、喀痰排泄ができず無気肺を合併する症例もある。そのような症例では吸痰を目的として気管支鏡を施行している。
循環管理を行う上で、心機能や循環血液量を評価することは重要。心駆出率の算出など心臓超音波検査の基本的な部分を習得することができる。
中心静脈路確保
末梢静脈ルートから投与できない薬剤・輸液製剤の投与や右心系の圧モニターが可能となる。
他診療科から中心静脈路確保を依頼されることもある。
研修医に中心静脈路確保などの手技について教育することも仕事の一つとなっている。
人工呼吸管理
人工呼吸管理はICUでは日常的に行われている。多種多様な換気モードの利点と欠点、呼吸不全の型を意識した換気戦略を行うように心がけている。
血液浄化法
腎不全や肝不全などでは、体内で本来代謝、排泄されるべき溶質や水分が蓄積された結果、尿毒症や水電解質異常、肝性昏睡といった種々の症状を呈することがある。血液浄化法は、病因物質や余剰水分を除去することにより体内環境を一定に保つ治療法であるが、ICU領域では循環動態が不安定な患者が多く、短時間で血液浄化が行えないため、24時間連続して施行する持続的血液浄化法を行うことがある。
補助循環
薬物療法の限界を超えた重症循環不全症例に対して、機械による循環補助が行われる。経皮的心肺補助法(PCPS, ECMO)の導入や管理を集中治療室で行っている。
16:00から当日のICU患者の動向についての申し送り
日勤のICUスーパーバイザーから当直医に対して、ICU入室中の全患者について申し送りを行う。
基本的には、申し送りをしっかり行うことで、当直医以外の医師に負担がかからないようにしている。
心臓血管外科カンファ
その週に予定されている心臓血管外科症例について、心臓血管外科、麻酔科、ICU、手術室ナース、ICUナースなどでカンファを行い情報を共有している。
看護スタッフ
いつも元気なICUナースの皆さん
状態の厳しい患者様ばかりですが手厚い看護で患者様を守っています。
抄読会
集中治療領域における最新論文を読み知識の更新を図り、日常診療に役立てるように努力している。研究などにも役立てるように努力している。
当直 ICU当直1~2名。オンコールあり。
重症患者については救急部当直をサポート。
院内緊急コール(ハリーコール)についてもICU当直医が中心となって診療を行う。
外勤 週1回
その他、勤務に支障のない範囲で夜間の他病院の当直も可としている。
院内におけるNST(Nutrition Support Team; 栄養サポートチーム)やRST(Respiratory Support Team:呼吸サポートチーム:集中治療部相原部長、尾辻 副部長、ICU認定ナース森下が中心となって活動している)への参加
学会参加・有給休暇など
学会参加は基本的に制限なし
日本集中治療医学会など、なるべく演者として参加できるように配慮している。
それ以外にも自分のサブスペシャリティーの学会に参加可能
BLS、ACLS、JATECなどのoff- the Job training、BLS、ACLSインストラクターコースへの参加を推奨
夏季休暇、有給休暇も取得可能(病院の規定通り)
入局後の進路について
2年間の臨床研修後、専修医期間(3~6年目)のうち最低2年間は産業医科大学病院集中治療部での勤務を行う。また2.5か月間は実務研修センターでの研修が必須(CコースまたはⅡコース終了のための必須要件)。4年間大学病院で勤務することも可能。
希望者には、麻酔科や心臓血管外科などローテーションも可能。ただし人員、業務の都合でローテーションの時期などは流動性になる可能性がある。
大学病院勤務以外の2年間については、サブスペシャリティーを修練するための診療科での研修も可能(例;内科、外科、麻酔科など)
7年目以降の進路としては「集中治療部 助教」「専属産業医・検診機関医での勤務」「労災病院などの義務年限消化可能な病院勤務」「大学院進学」など。
進路実績
病 院:九州厚生年金病院、聖マリア病院、北海道中央労災病院、日本大学医学部附属板橋病院、製鉄記念八幡病院、横浜労災病院など
産業医:日産自動車九州工場、トヨタ自動車北海道株式会社、中国電力島根原発、日本郵政(株)首都圏郵政健康管理センター
連絡先
郵便番号807-8556
北九州市八幡西区医生ケ丘1-1
産業医科大学病院 集中治療部
電話(代表):093-603-1611
(更新日:令和6年5月2日)