ウロギネセンター(骨盤臓器脱・尿失禁)

ご挨拶

ウロギネセンター部長 吉村 和晃 


 産業医科大学若松病院では2013年4月より、産婦人科において、女性の骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱脱、直腸瘤、直腸脱)や 頻尿、尿失禁など、数多くの疾患を診てきました。これらは専門としている病院が少なく、 どこに行ってよいのか分からず1人で悩んでいる患者さんが多い疾患でもあります。高齢化が進んでいる近隣の北九州地域だけでなく、遠方からも多くの患者さんが来られ、当院の手術件数は九州でもトップの実績となっています。

 令和8年4月より、産婦人科、泌尿器科、消化器外科、リハビリテーション科が協力し、ウロギネセンターを立ち上げました。ウロギネという言葉は、 urology(泌尿器科)と gynecology(産婦人科)を合わさった造語です。当ウロギネセンターでは、患者さんご本人やそのご家族など周囲の方々にとって、よりよい最善の治療やケアを提供できるよう、診療科同士が協力・連携してサポートすることで、より質の高い医療を行います。さらに、リハビリテーション部において、理学療法士による骨盤底筋体操の指導など、術後の患者さんが退院後も元気に過ごされるよう支援を行います。

 これまでに若松病院にはたくさんの患者さんが来られ、手術を受けて快適に過ごされています。ぜひ一度、当センターの専門外来へ診察に来てください。そして一緒に病気を治しましょう。

 

産業医科大学若松病院 ウロギネセンターの強み

 当院では、産婦人科、泌尿器科、消化器外科、リハビリテーション科が協力し、子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤、尿失禁などのウロギネコロジー領域を専門としたチーム医療を提供しており、それぞれの患者様に最適な治療法や手術方法を行うよう心がけています。当院は「切らない治療」をモットーとし、開腹手術はほとんど行っていません。大きな子宮筋腫や卵巣腫瘍などでも腹腔鏡手術が可能な場合があります。また子宮の内側から筋腫を削る子宮鏡手術も積極的に行っています。

  また、2023年度より女性医師の清水先生が赴任しました。女性医師の外来を希望される方は、金曜日の午前午後に来院予約をしてください。

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産業医科大学若松病院 手術実績

2024年度 手術370件(2024.4-2025.3)重複あり

2023年度 手術365件(2023.4-2024.3)重複あり

2022年度 手術334件(2022.4-2023.3)重複あり

2021年度 手術364件(2021.4-2022.3)重複あり

2020年度 手術354件(2020.4-2021.3)重複あり


リハビリテーション体制

当院では、リハビリテーション科およびリハビリテーション部が協力し、患者さんが治療後も快適に過ごされるよう、サポートいたします。



【リハビリテーション科 診察】

リハビリテーション科においても診察を行い、ウロギネリハビリの適応やその他の合併症などの確認を行い、その後にリハビリを開始いたします。


【ウロギネリハビリ】

専門のリハビリテーションスタッフ(理学療法士)が患者さんを担当いたします。

・ ⾻盤底筋体操 (※保険外診療)

⾻盤臓器脱・腹圧性尿失禁・切迫性尿失禁・前⽴腺⼿術後の尿失禁などの症状に対する運動で、

⾻盤底筋群の筋⼒低下が原因で起こる症状に効果がある体操です。

肛門や膣を自分でコントロールして動かす練習を2-3か月継続して行うことで、症状が改善していきます。

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個別指導 ¥7000円(税込)//60分(希望患者さんと相談の上、任意の日付で骨盤底筋群リハビリ指導)

集団指導 ¥3000円(税込)//40分(月1回日程設定・骨盤底筋群リハビリ教室)



・肥満の改善

肥満による腹圧は尿もれや骨盤臓器脱を悪化させる要因と言われています。また、尿もれの心配

から外出を控えるなど、活動量が減少すると筋肉量が減り基礎代謝量も減る悪循環に陥ります。

お一人お一人の悩みに合わせて、無理のない運動習慣を身に付けるためのアドバイスを行います。

 

・日常生活指導

症状の改善には、骨盤底筋体操が最も効果的ですが、重過ぎる物を持たない、長時間のしゃがみ

動作を控えるなど、日常生活動作で過度に腹圧を高めない工夫も必要です。

日頃、どういう場面でお困りなのかをお聞きし、お一人お一人に合った生活指導および腹圧が

かかる場面で効果的に骨盤底筋の収縮ができているのか、女性スタッフが親身になってサポートします。


通常

ウロギネセンターの受診について(保険診療)

受診される際のお願い

 ・当院は紹介状がなくても受診が可能です。初診料以外の費用(選定療養費)は必要ありません。

 ・受診の際は、混雑を避けるため、下記の外来予約係までご連絡をお願いいたします。

   産業医科大学若松病院 外来予約係(TEL:093-285-3203)

 

 外来受診についてはこちらのページをご確認ください。

 初診時は終了まで時間がかかりますので、時間に余裕を持って受診してください。

初診時の持ち物

 □産業医科大学若松病院の診察券(お持ちの方のみで結構です)

 □かかりつけ医療機関からの紹介状(お持ちの方のみで結構です)

 □健康保険証 、マイナンバーカード (資格確認書)

 □おくすり手帳

診察の流れ

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入院から退院までの流れ

(準備中)


~骨盤臓器脱・尿失禁に関する情報について~

骨盤臓器脱でお困りの方へ 

骨盤臓器脱とは?

 骨盤臓器脱は、女性の骨盤内にある子宮・膀胱・直腸が下がってきて腟の中に落ち込み、外に飛び出す病気です。以前は子宮脱・膀胱脱・直腸脱などと単独で呼ばれていましたが、現在では総称し「骨盤臓器脱」と呼ばれています。腟から下がっているのは子宮と思われがちですが、実は膀胱が下がることが多く、膀胱瘤が6-7割を占めています。

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骨盤臓器脱の頻度は?

 骨盤臓器脱は中高年の女性にとって非常に身近な病気です。欧米での疫学調査では出産経験者の発症率が、軽症も含めると40%を超えるというデータもあります。しかし日本ではまだ社会的にもあまり知られておらず、誰にも相談できずに悩んでいる患者さんが多いと思われます。

骨盤臓器脱の原因は?

 出産や力仕事・喘息などが要因といわれています。出産時に骨盤底筋が強く引き伸ばされて損傷し、さらに加齢によりこの骨盤底筋が臓器を支えられなくなり、膀胱や子宮が下がってくると推測されます。

どのような症状があるの?

 患者さんの訴えで最も多いのが、「またの間にピンポン球のようなものがふれた」です。この他にも、入浴中に腟のあたりに何か出てくる、歩くときに股の間に何かはさまった感じがある、重いものを持って歩くと何かが出てくる、といった訴えもあります。重症になるとずっと出っぱなしの状態になります。

低侵襲骨盤臓器脱(性器脱)の治療

 性器脱の治療としては、リングペッサリーによる保存的治療や手術療法があります。しかし、リングペッサリーでは治療効果が不十分である場合や、長期間の使用による不正出血・おりものといった副作用のため抜去を余儀なくされる場合もあります。

 骨盤臓器脱を根本的に治療するためには手術が必要です。手術にはいくつかの方法があり、患者様の年齢、職業、趣味、生活習慣、体力、下がってきた臓器の種類や程度によって、最適な手術方法を決定します。

 

骨盤臓器脱の手術

<メッシュを用いた手術>

・腟からのメッシュ手術(Uphold-TVM)

膀胱や直腸がメインに下がっている場合に行う手術で、テフロン素材で作られたメッシュシートを用いて、骨盤底筋を補強して骨盤臓器を支える方法です。

 

・腹腔鏡でのメッシュ手術(LSC、LLS)

多くのタイプに対応可能な良い手術です。腹腔鏡でメッシュを用いて膀胱・子宮・直腸を仙骨に吊り上げる方法であり、腟には全く傷ができない利点があります。当院では約1時間で施行可能で、対象症例が増えています。

 

<メッシュを用いない手術(NTR)>

・子宮の摘出

主に子宮が下がってきた場合に子宮を摘出する方法です。最近では侵襲の低い腹腔鏡下での手術が主流となっています。当院では腹腔鏡下で子宮(+両側付属器)を摘出し、腟の断端を仙骨子宮靭帯に固定する方法を行っています。

 

・腟壁の縫縮

弱っている腟の壁を縫い縮めて補強する方法です。

 

・腟の閉鎖

腟の前と後ろの壁を縫い合わせてそこから下に臓器が落ちないようにする方法です。

   

この他にも複数の治療法があるため、患者様に合った方針を話しあって決定します。



尿失禁でお困りの方へ

尿失禁とは?

 尿失禁とは「尿の無意識あるいは不随意な漏れが衛生的または社会的に問題になったもの」と定義されています。簡単に言えば患者さんが「尿が漏れて困る」と感じれば、それは尿失禁になります。

尿失禁の頻度は?

 女性を対象にした調査では、26.8%の女性に認められたという報告があります。また、40歳代以上では特に多いことが特徴的です。

尿失禁の原因と分類は?

 女性の尿失禁は原因によって大きく分けて4つに分類されています。

 1 腹圧性尿失禁

 「腹圧上昇時に、膀胱の収縮と無関係の尿失禁」です。簡単に言えば、くしゃみや運動など力がかかるときに尿が漏れることを言います。これは尿道過可動と内因性括約筋不全が原因です。 

  切迫性尿失禁

 「我慢することができない突然の尿意と共に生じる尿失禁」です。原因は排尿に関わる神経によるものとそうでないものに分けられます。

 3 混合性尿失禁

 1と2両方を合併している尿失禁です。

 4 溢流性尿失禁

 「尿が膀胱に充満し、尿道から溢れ漏れ出る尿失禁」です。排尿に関わる筋肉の力が弱くなることや膀胱から尿が出てからの通り道の障害によるものが原因と言われています。

尿失禁の治療

 尿失禁の治療は原因によって異なりますが、腹圧時の尿失禁がある方の治療法には骨盤底筋体操や内服治療があります。保存的治療では効果不十分の場合は、手術療法が必要です。当院では TVT手術やTOT手術を行い治療しています。

TVT手術とは?

 TVTとはTension-free Vaginal Tapeの略です。図にあるように尿道近くに非吸収性のテープを通して、恥骨上部に固定する手術で、手術時間は約30分で約3日間の入院です。テープが尿道をしっかりと支えるため、尿失禁を予防する効果が高いという利点があります。

TOT手術とは?

 TOTとはTrans-Obturator Tapeの略です。図にあるようにこちらも非吸収性のテープを通すのですが、こちらは閉鎖孔という場所にテープを固定します。こちらも手術時間は約30分程です。

尿失禁 治療 根治 治る 

スタッフ紹介

ウロギネセンター部長
吉村 和晃(よしむら かずあき):若松病院副病院長、診療教授

 (経歴)

 1992年 産業医科大学医学部卒業、産婦人科入局

 1993年 浜松労災病院 出向

 1997年 産業医科大学大学院入学(微生物学教室)

        O-157と妊娠の研究

 1999年 コロンビア大学(ニューヨーク)産婦人科へ留学

        感染と早産の研究

 2001年 産業医科大学大学院卒業

      産業医科大学産婦人科 助手

 2010年 総合周産期医療センターMFICU室長

 2012年 産業医科大学産婦人科 講師

 2013年 産業医科大学若松病院産婦人科 診療教授

   2024年 産業医科大学若松病院 副院長

 (資格)

 日本産科婦人科学会    産婦人科専門医・指導医

 日本超音波医学会     超音波専門医・指導医

 日本感染症学会認定インフェクションコントロールドクター(ICD) 

 日本周産期・新生児医学会 母体・胎児専門医

 日本産科婦人科内視鏡学会 腹腔鏡・子宮鏡技術認定医

 日本女性骨盤底医学会   理事、学会雑誌編集委員長、専門医制度委員長

 日本骨盤臓器脱手術学会  幹事

 若松区医師会 理事

 

 2007年ー日本化学療法学会

      抗菌薬臨床評価ガイドライン改定委員

 2010年ー日本産科婦人科学会

      診療ガイドライン作成委員(婦人科外来編2011/2014/2020) 

        日本感染症学会

      JAID/JSC感染症治療ガイド作成委員

 2021年ーAssociate Editor of Journal of Obstet Gynecol Res


助教 齋藤 研祐(さいとう けんすけ)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医

女性医学会ヘルスケア専門医

日本産科婦人科内視鏡学会 腹腔鏡・子宮鏡技術認定医

日本生殖医学会専門医 

 (所属学会)

日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本生殖医学会、日本女性医学学会、日本受精着床学会


助教 藤本 茂樹(ふじもと しげき)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医 

(所属学会)

日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本女性骨盤底医学会、日本生殖医学会


診療助教 清水 彩理(しみず ひかり)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医 

(所属学会)

日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本女性骨盤底医学会、日本生殖医学会、日本女性医学会、日本周産期新生児学会、日本受精着床学会、日本子宮鏡研究会


助教 松本 正広(まつもと まさひろ)

日本泌尿器科学会専門医・指導医

日本性感染症学会認定医

ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター

日本メンズヘルス医学会テストステロン治療認定医


講師 秋山 正樹(あきやま まさき)

医学博士

日本外科学会 専門医
緩和ケア研修会終了

産業医科大学産業医学ディプロマ(産業医学基本講座終了認定証)


助教 徳永 美月(とくなが みつき)

日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医

その他の専門職

・理学療法士

・作業療法士

・看護師


 多職種が協力しあって当センターを運営しています。

問い合わせ先

産業医科大学若松病院 外来予約係

【電話番号】093-285-3203

【日時】月~金曜日(土日祝を除く)8時45分~18時