産業医に関する調査報告書
近年は、治療と仕事の両立支援や女性特有の健康課題への対応などが労働衛生施策の重要課題として強化されてきた。さらに、ストレスチェック制度が義務化され10年が経過し、労働者数50人未満事業場へストレスチェック制度の義務化の方向が示された。従来の労働者の範囲にとどまらず、国内で働き手の安全を守る法律の保護対象は拡大してきており、産業医の役割への期待と需要供給に関しても社会的関心がますます高まっている。
この状況に対応するため、産業医科大学と産業医学振興財団では2017年度より、事業場と産業医有資格者の求人と求職にかかわるアンマッチの実態と原因を探索することを目的とした『産業医需要供給実態調査事業』を行っている。初年度は事業場、産業医新規資格取得者の量的調査を行い、両者の選好性や求職求人経路によるミスマッチを明らかにした。量的調査は質問紙法での調査であるため、異なる内容が同一用語に統合されてしまう問題を内包している。これを補う需給格差の原因を探索するため、次に質的調査である地域調査を行った。この結果、地域や業種あるいは事業場規模により、産業医不足の意味は異なっていることが明らかになった。
産業医の需給は、資格取得に始まり産業保健サービスの提供に至るまで多段階を経ている。需給のボトルネックは、地域の有資格者の多少、業種あるいは事業所規模により、いずれが主原因であるかはそれぞれ異なる。そこで本事業の第3期目は、産業医供給の特に教育研修や組織供給および中小事業場における産業医業務成果をどう伝えるべきかを主軸に調査研究を実施した。
本稿では、この調査研究報告の概要として、「Ⅰ.地域ごとのボトルネック分析に資する基礎資料の整備」、「Ⅱ.中小企業における産業保健課題解決のために」、「Ⅲ.教育困難地域での実務指導手法の開発」、「Ⅳ.大企業における産業保健課題解決のために」の4項目について、それぞれの分担研究者より、地域あるいは事業場における産業医機能の強化と産業保健の質の向上に向けた取り組みの一助となる知見を取り纏めた。
(文責 産業医科大学 進路指導副部長 一瀬豊日)
【産業医需要供給実態調査事業報告書Ⅱ(平成30 年度・令和元年度 地域調査報告)】
近年、労働安全衛生基本調査等では産業医の選任率は高率を示していますが、産業医契約が進まない事例をはじめとした即ちアンマッチについてよく聞くようになりました。
そこで産業医科大学は産業医学振興財団と共同で、事業所と産業医資格者の求人と求職にかかわるアンマッチの原因を探索する研究事業を行っています。この調査事業にあたっては、幅広い分野の専門家にご参加頂くため委員会を設置し、調査計画の企画、実施、調査結果の分析、課題の検討を行っています。平成29年度の調査は、産業医を採用する事業所への調査、採用されている産業医への調査、産業医資格を取得した医師への調査の3側面からのアンケート調査を実施し、事業所が採用したい産業医と産業医が勤務したい事業所とのギャップ、求人と求職を仲介する機関の選好のギャップや機能強化が望まれている機関等などのマッチングについて論点が明らかになりました。この量的調査では明らかにすることが出来なかった産業医資格取得、求人求職情報の把握・流通、産業医の就業し産業医活動実施に至るまでの各段階において、どのような事項が問題となり律速段階になっているのか、またこれらに対処する好事例にはどのようなものがあるかを明らかとする質的調査を引き続きおこないました。産業医資格取得から就業に至るまでの事項に関する聴取事項を定め半構造化面接法で聴取を行いました。事業所数および人口が類似し産業医が比較的不足している12の県を選定し、産業医供給に関わる主たる団体である都道府県医師会、大学、労働衛生機関等を調査対象としました。なお調査対象が特定できないよう匿名化を行うこと、内容及び匿名化の確認を相互に複数回実施し調査取りまとめを行っています。調査の結果、産業医需要に関わる情報整備の必要性、医師偏在や地域の医師高齢化、「産業医不足」の言葉が指す意味が複数混在し地域毎に、産業医供給の律速段階となる問題が異なること等が本報告書では取りまとめられております。
(文責 産業医科大学 進路指導副部長 一瀬豊日)
近年、労働安全衛生基本調査等では産業医の選任率は高率を示していますが、質の高い専属産業医、嘱託産業医の求人が増加する一方、産業医資格を有する医師の産業医契約が進まない事例をはじめとした即ちアンマッチについてよく聞くようになりました。
そこで産業医科大学は研究調査事業として、事業所と産業医資格者の求人と求職にかかわるアンマッチの原因を探索することを目的とし、研究調査を産業医学振興財団と共同で行いました。この調査事業にあたっては、幅広い分野の専門家にご参加頂くため委員会を設置し、調査計画の企画、実施、調査結果の分析、課題の検討を行っています。平成29年度の調査は、産業医を採用する事業所への調査、採用されている産業医への調査、産業医資格を取得した医師への調査の3側面からのアンケート調査を実施しております。調査の結果、事業所が採用したい産業医と産業医が勤務したい事業所とのギャップ、求人と求職を仲介する機関の選好のギャップや機能強化が望まれている機関等などのマッチングについて論点となる事項が本報告書では取りまとめられております。
(文責 産業医科大学 進路指導副部長 一瀬豊日)
【産業医の事業所に対する助言、指導、勧告に関する実態調査報告書】
労働安全衛生法および同規則により産業医の行う業務は規定されています。労働安全衛生法第13 条では産業医の事業者への勧告権が規定されており、労働安全衛生規則第14 条では勧告権、指導、助言に関して規定がされています。しかしながら、助言、指導、勧告が、どのような頻度や様態で使用されているのか、また実施された助言、指導、勧告が事業所で有効に活用されているか等に関して、調査されたことはなく、これらの実態は不明でした。
本調査では2500 名以上を越える医師に回答協力を得て、報告書では産業医活動を実施している医師(常勤・非常勤、専属・非専属等を問わず)2243人からの、産業医による助言、指導、勧告がどのような実施状況にあるのかの実態が本報告書では取りまとめられております。
(文責 産業医科大学 進路指導副部長 一瀬豊日)



















