福岡県防災賞を受賞

 本学が令和3年度の福岡県防災賞を受賞しました。受賞理由は、2011年東日本大震災以降スタートした、被災対応労働者・職員(レスポンダー)支援の学術的な体系化及び人吉球磨地区豪雨時における職員の健康支援、北九州市・北九州商工会議所との産官学連携での各事業者向けの新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン等の作成について、などです。
 災害時の被災者をどのように守るか、という視点が防災の議論の中心です。被災者の中でも議論の中心は脆弱性を持つ者(高齢者・小児・病気を持っているもの)への支援であり、レスポンダーへの支援という視点は、我が国においては完全に欠落している視点でした。レスポンダー自身も被災していながら、災害時の過酷な対応を余儀無くされ、心身ともに負担が大きく、健康影響が出たり、退職することが発生しています。これまでの研究でどのような対応が必要か、ということは明らかになりつつあります。
 しかしながら、具体的にどのように社会に実装するか、という点はまだまだで、わたしたちが対応してきたことも、これまで元々関係性のあったところにしかアプローチできていません。いざ、災害が発生してから支援を申し出ても、受援する組織(企業・自治体等)にその準備がなければ、支援を効率よくレスポンダーに届けることができません。
 防災基本計画に災害時のレスポンダーの健康被害を防ぐことを明記することが必要で、今回の受賞を契機にさまざまな関係者に働きかけを強めていき、今後日本全国で発生する可能性のある大規模災害時において、レスポンダーの健康障害を極小化できる枠組みを提示し、災害産業保健センターは貢献していきたいと思っております。興味のある方は、ご一報ください。

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