作業関連疾患予防学 研究内容

研究テーマ

  • 微小粉体、化学物質への単独並びに複合曝露の健康影響に関する疫学研究
  • 鉱物繊維への単独並びに複合曝露の健康影響に関する疫学研究
  • 高年齢労働者の作業負担管理指標に関する研究
  • 新たな労働態様、過重労働に対する対応に関わる研究と対策手段の開発
  • 今後の産業保健活動のあり方(サービスの提供範囲、方法、内容、各国比較など)のあり方に関する研究
  • 国内外の産業保健高次専門職の育成方法ならびに教育研修教材の開発・作成
  • 分散型小売店舗における効果的な労働衛生活動の関する研究
  • 中小企業用産業保健電子カルテ(iPHR)の開発とそれによる効果的・効率的な産業保健手法に関する研究

科学研究費

労災疾病臨床研究事業費補助金

臨床調査に関連した健康データベース活用についての研究(2020年~)

本研究では、健診項目の基準値、異常値の判断基準や算出根拠についての妥当性の科学解析を「多項目健診」「基本健診」データを用いて解析することにより、有効かつ有用な健康度指標を探求することを目的とする。本研究の意義としては、このような指標を開発探求する事により、「放射線業務従事者の健康影響に関する疫学研究」の調査目的である、「がん検診を含む多項目健診を定期的、継続的に実施して緊急作業従事者の健康管理に役立てること」、結果票の効果的な提示、健康管理に活用できる情報提供の実施、について貢献できると期待できる。


厚生労働科学研究費補助金

■特殊健康診断等のデータ入力標準化およびデータ利活用ツール開発のための研究(2022年~)

本研究は、国内事業場における特殊健康診断の活用実態、特に情報入力および蓄積・保存の実態を調査し、中小企業にも提供可能な特殊健康診断統合パーソナルヘルスレコード(PHR)あるいはツールを開発し、より実効的な産業保健サービスの定着と産業保健活動の充実を図る事を目的とする。


文部科学省科学研究費(若手研究)

高年齢労働者の転倒災害リスク因子を特定するためのコホート研究(2024年~)

本邦における高年齢労働者の転倒に関連する労働災害(転倒災害)は増加の一途を辿っている。この喫緊の課題に対処するため、本研究では高年齢労働者の転倒災害のリスク要因を特定することを目的とし、コホート研究を通じてその要因を明らかにする。さらに、因果媒介分析(Causual mediation analysis)の手法を用いて、そのリスク要因が高年齢労働者の転倒災害を引き起こすメカニズムを深堀りし、高年齢労働者の転倒予防策を構築するための学術的基盤を築く。


重点研究費

Virtual Reality ライブ配信技術の職場巡視への応用可能性の検討(2023年~2024年)

近年VR(Virtual Reality)技術が進歩してきており、広視野角の映像を高画質に撮影・配信することが可能となっている。VRゴーグルを併用することによって没入感がある映像視聴を行うことも可能となっており、従来のシステムより実地に近い遠隔職場巡視を実施することが可能となる可能性がある。これは2つの観点から有用と考えられる。1つ目は、経験の浅い産業医の巡視を遠隔から指導医がサポートできる可能性があることである。2つ目は複数拠点を担当する産業医の負担軽減につながる可能性である。本研究は、VRライブ配信の若手産業医の教育や産業医実務における有用性・課題について検討することを目的とする。

受託研究&共同研究費

トナーの取扱に関わる健康影響追跡調査(2015年~)

トナー取り扱いによる健康影響を疫学的に調べるために、社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)作成の「JBMIA産業保健調査ガイド」に従い、トナー取扱者と非取扱者のWEB問診による詳しい追跡健康調査を行い、解析を行う事を目的としている。

小径トナー健康影響に関する研究(2017年~)

2017年から、より小径(φ5μm以下)のトナーによる健康影響の調査を開始した。対象物質の粒径に対応した粉じん濃度測定調査と作業者の健康影響調査を行う。作業環境の評価分析とトナー取扱者・非取扱者の血液・尿検査の分析結果から、小径トナー曝露による人体への健康影響を明らかにする。

生産現場のセンサデータに基づく作業負荷推定に関する研究(2024年~)

実際の作業現場を想定した模擬作業手順のもとで、開発考案されたM5Stack作業姿勢検出センサーを含むIMUセンサーを装着し、モーションキャプチャーカメラにおける動作観察記録と比較することにより、作業負荷推定やリスク要因特定を解析し、IMUセンサーの有用性について知見を重ね検討することを目的とする。

その他

中小企業の健康経営に関する調査および健康経営支援ツールの開発

2015~2016年度にかけて、実施責任者および多くの中小規模分散事業場を有する統括産業医と事業場担当者、嘱託産業医経験者・労働衛生コンサルタント、中小規模事業場の嘱託産業医かつテクニカルエンジニア(ネットワーク、情報セキュリティ)国家資格者、産業保健分野の知識を有する情報工学の専門家にて、企業ヘルシー度指標を考案した。2017年から企業ヘルシー度指標の利用を希望する事業場に提供し、企業ヘルシー度指標の活用事例の収集や中小企業の健康経営・産業保健活動実態調査を進めている。


電動ファン付き保護具の実用性並びに普及に関する研究(2018年~)

呼吸用保護具装着による心身への影響を明らかにすることで、高齢作業者や慢性の呼吸器疾患を有する作業者に対する適切な保護具装着の指導や適性配置の実施に貢献し、じん肺の発生を抑制することができると思われる。また、作業者の作業環境や作業内容に応じた保護具の選定や装着方法の推奨、PAPRの高い防護性や融通性のある使用法を示すことで、職場の粉じんばく露防止対策を促進させると考えられる。本研究により得られた科学エビデンスを普及啓発することにより、じん肺を含む様々な健康障害防止に寄与すると考える。