認知症専門職研修会を開催

 産業医科大学病院認知症センターは、北九州市認知症疾患医療センターとして指定されており、鑑別診断とその治療、身体合併症と行動・心理症状の対応、専門医療相談、診断後支援のほか、地域とのネットワークづくり、認知症に関わる情報の発信という役割を担っています。2020年からは感染予防のため、Zoom配信で研修を開催しており、オンライン研修は今回で3回目となりました。
 認知機能と深く関わってくる問題のひとつに“自動車運転”があります。令和4年5月には、高齢者の運転免許制度が改正されました。当センターを受診される方たちの中にも運転免許の更新・返納等の相談で来院される方は多く、現在の社会において高齢ドライバーの問題はごく身近なものとなっています。そのような現状を踏まえ、“認知機能の低下と自動車運転”をテーマに、認知症に関わる専門職の方を対象とした研修会を開催しました。
 講演は、当センターの池ノ内 篤子 部長の司会のもと、福岡県警交通部運転免許試験課の木村 公治 調査官から『①令和4年5月に改正された高齢者の運転免許制度について、②認知機能検査受検者状況について、③高齢者の交通事故状況について』、平和通り法律事務所の小鉢 由美 弁護士から『認知症の人が自動車運転中に交通事故を起こした場合の本人・家族・支援者の法的責任』というご講演を頂きました。
 このテーマは多くの方から関心を寄せて頂き、約100名の方に参加頂きました。参加者からは「認知症の方々と日々接している中で、いつどんな事故が起こるかわからない不安の中、支援をしているところがある。今日の講義を聞いて、その不安が少し解消できた。」「とても困っている内容なので参考になった。」「今回の内容を事業所内で情報共有しようと思う。」等のご感想を頂きました。
 当センターは、認知症になっても本人や家族が安心して日常生活を続けていけるよう、本人・家族への適切な支援、そして地域の専門職の方々との連携を大切にしていきたいと考えています。今後も、皆様のお役に立てる研修会を継続して企画して参ります。ご関心をお持ちのテーマがございましたら、是非ご参加ください。

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