令和3年度 決算の概要
本学は、政策目的大学として厚生労働省から補助金を受けており、学生生徒等納付金収入、医療収入等の事業収入と共に主な収入財源としています。しかしながら、補助金に依存することなく業務運営の一層の効率化を図り、運営費の削減に努力し、積極的に外部資金を獲得するなど自前収入の拡大に努め、財政基盤の安定化と収益性の確保に取り組んでいます。
現在進行中の急性期診療棟建設については、大学全体の財政計画及び運営に大きな影響を及ぼす大型事業であるため、これを軸とした大学運営に係る資金計画の策定及び予算管理を行っています。
令和3年度は、急性期診療棟建設工事に係る前払い費用として建設仮勘定に約42億円が計上されたほか、病院本館耐震補強工事の完了等により、施設関係支出が合計47億1,600万円となりました。
大学病院及び若松病院においては、医療収入の合計が予算を10億3,700万円上回り、新型コロナウイルス感染対策関連補助金による増収を含めて、経常収支差額が合計で4億1,400万円でした。
一方、大学全体の経常収支差額は△3億1,600万円となりました。しかしながら、人件費や管理経費の支出削減に取り組んだことで、経常収支は予算を約8億円上回り大きく改善しています。
今後、本学の目的・使命を実現していくため、より一層の収支改善に向け、医療収入の増収策と経費削減に取り組み、安定した財政基盤の確立を目指します。
(1)貸借対照表の状況
貸借対照表は会計年度末現在の財産の状況を示します。令和4年3月31
日現在の財産の状況は以下のとおりです。
資産の部は合計が995
億2,900
万円で、急性期診療棟に係る固定資産の取得により、前年度より20
億1,900
万円
増加しました。また、資産の部合計から負債の部合計を差し引いた純資産の部合計は857
億1,400
万円で、前年度よ
り20
億4,900
万円増加しています。
財務比率の推移(貸借対照表関係)を見ると、運用資産余裕比率及び積立率が減少していますが、これは急性期診
療棟建設の資金に充てるため、減価償却引当特定資産等を大幅に取崩したことで運用資産が減少したことによります。
なお、積立率は特定資産を取崩しているため5年間で約19%減少していますが、これは急性期診療棟建設にあわせ
て毎年度計画的に行っているものです。
(2)資金収支計算書の状況
①主な収入の状況
「学生生徒等納付金収入」は、学生定員に変更がなく、ほぼ一定額で推移しています。
「寄付金収入」には、新たに急性期診療棟特別寄付金及びクラウドファンディング特別寄付金が加わり、前年度比で8,800万円の増収となりました。
「補助金収入」は前年度比で16億3,000万円の増収でした。主な要因は、国庫補助金のうち急性期診療棟建設に係る施設設備補助金が、年度毎の計画額の差により増額したことです。
「医療収入」は、大学病院及び若松病院ともに増収となり、前年度比で合計38億8,000万円増加しました。
②主な支出の状況
「人件費支出」は前年度に引き続き増加しました。主な要因は、各年の定期昇給及びベースアップの他、働き方改革による諸施策によるものです。
「医療経費支出」は医療収入の増収に伴い、前年度比で22億2,800万円増加しました。高額薬品の使用増に伴い、医療収入における医療経費支出が占める割合は増加傾向にあります。
「医療経費支出」を除く「教育研究経費支出」は、急性期診療棟の開院に向けた教育研究用の設備拡充に伴い増加しています。
「管理経費支出」には、法人運営、法人事務局経費等、教育研究経費に該当しない支出が計上されており、年度毎の増減はあるものの増加傾向で推移しています。
「施設関係支出」は急性期診療棟建設関連の支出により、前年度比で合計34億7,700万円増加しています。
(3)事業活動収支計算書の概要
経常収入では「医療収入」が前年度比で38億8,000万円の増収となり、経常収入の70%以上を占めています。
一方、経常支出では、医療収入の増加に伴い「医療経費」が前年度比で21億4,800万円増加し、経常支出の39.2%を占めました。
これらの経常的な事業活動による収支のバランスを表す「経常収支差額」は△3億1,600万円でした。また、「基本金組入前当年度収支差額」は20億4,900万円、「翌年度繰越収支差額」は△143億4,300万円となりました。
翌年度繰越収支差額のマイナスは、退職給与引当金や減価償却額の累計額に対する収入不足によるものです。これらは、中長期における資金計画において毎年度の必要額を試算し、計画的に積み立てを行うことで資金確保に努めています。
(4)その他
①有価証券の状況
②借入金の状況
③寄付金の状況
④補助金の状況
⑤収益事業の状況
収益事業として運営していた介護施設「虹の丘」は、令和3年12
月31
日をもって閉所しました。
これに伴い、事業終了時決算(令和4
年1
月31
日)において、学校法人会計にて収益事業元入金の回収及び残余財産(資産、負債及び剰余金)の受入れを行ったため、収益事業の計算書類はありません。
⑥関連当事者との取引の状況
ア)関連当事者
イ)出資会社
当学校法人の出資割合が総出資額の2分の1以上である会社等の状況は次のとおりです。