令和4年度 決算の概要
本学は、政策目的大学として厚生労働省から補助金を受けており、学生生徒等納付金収入、医療収入等の事業収入と共に主な収入財源として
います。しかしながら、補助金に依存することのないよう業務運営の一層の効率化を図り、運営費の削減に努力し、積極的に外部資金を獲得するなど自前収入の拡大に努め、財政基盤の安定化と収益性の確保に取り組んでいます。
令和4年度は、急性期診療棟の開院を翌年度に控え、これを軸として大学運営に係る資金計画の策定及び予算管理を行っています。完成間近
の建設工事においては、前払い費用として建設仮勘定に約42億円を計上しました。
収入の柱となる医療収入については、大学病院及び若松病院をあわせて297億100万円となり、両病院ともに新型コロナウイルスによる一部
診療制限がありましたが、前年度比で合計11億9,700万円の増収でした。
一方、支出は、教育研究経費、管理経費において経費節減に努めたものの、医療収入の増加に伴う薬品費の支出増、社会情勢の変化による
委託費や光熱水費の価格高騰、若松病院の電子カルテシステム更新に係る一時経費の約3億8,300万円の計上等がありました。
このため、大学全体の経常収支差額は△3億9,900万円でした。これに施設設備補助金等を含む特別収支差額を加えた基本金組入前当年度収支差額は11億5,600万円となりました。
今後も、本学の目的・使命を実現していくため、より一層の収支改善に向け、医療収入の増収策と経費削減に取り組み、研修事業等の独自
収入の増収など、安定した財政基盤の確立を目指します。
(1)貸借対照表の状況
令和4年度は、急性期診療棟に係る建設仮勘定の計上等により固定資産が増加し、資産の部が前年度比で34億8,200万円増加しました。
また、資産の部合計から負債の部合計を差し引いた純資産の部合計は868億7,100万円で、前年度より11億5,600万円増加しています。
財務比率の推移(貸借対照表関係)を見ると「積立率」が減少していますが、これは急性期診療棟建設資金に充てるため、減価償却引当
特定資産及び施設設備引当特定資産を取崩したことで運用資産が減少したことによります。
なお、これらの特定資産の取崩しは、急性期診療棟建設の資金計画に沿って行っています。
(2)資金収支計算書の状況
①主な収入の状況
「学生生徒等納付金収入」は、学生定員に変更がないため、ほぼ一定額で推移しています。
「寄付金収入」は奨学寄附金及び急性期診療棟特別寄付金が減収となり、前年度比で1億2,700万円減額しました。
「補助金収入」は前年度比で12億3,400万円の減収でした。これは、国庫補助金のうち急性期診療棟建設に係る施設設備補助金の
年度毎の計画額による差、新型コロナウイルス関連補助金の減少が影響しています。
「医療収入」は、大学病院及び若松病院ともに増収となり、前年度に続きコロナ禍前を大きく超える収入でした。
②主な支出の状況
「人件費支出」は前年度比で1,600万円減少しましたが、働き方改革による諸施策等で増加傾向にあります。
「医療経費支出」は医療収入の増収に伴い薬品費の支出が増加し、前年度比で6億9,600万円増加しました。医療収入における医療
経費支出が占める割合は増加傾向にあります。
「医療経費支出」を除く「教育研究経費支出」及び「管理経費支出」は、経費節減に努めた結果いずれも減少しました。
「施設関係支出」は急性期診療棟建設に係る支出により、前年度と同様に高額となりました。
(3)事業活動収支計算書の概要
経常収入の構成を見ると、増収となった「医療収入」が74.6%と大きな割合を占め、経常支出の構成では医療収入の増収に伴い増加
した「医療経費」が40.1%を占めました。
事業活動収支計算書の推移において、令和4年度の経常的な事業活動による収支バランスを表す「経常収支差額」は、△3億9,900万円
でした。経常収支を黒字転換するためには、前述の比率から分かるように、大学病院並びに若松病院の更なる収支改善が求められます。
経常収支差額に施設設備補助金等を含む特別収支差額を加えた「基本金組入前当年度収支差額」は11億5,600万円となりました。
基本金組入額、前年度繰越収支差額を加減した「翌年度繰越収支差額」は△181億5,500万円でした。このマイナスは、退職給与引当金
や減価償却額の累計額に対する収入不足によるものです。これらは、中長期における資金計画において毎年度の必要額を試算し、計画的に
積み立てを行うことで資金確保に努めています。
財務比率の推移(事業活動収支計算書関係)を見ると、経常収支差額比率が過去4年連続でマイナスとなっていますが、一方で、事業
活動収支差額比率は昨年度に続きプラスで推移しています。事業活動収支差額比率とは、事業活動収入に対する基本金組入前当年度収支
差額(毎年度の収支バランス)が占める割合で、この比率がプラスで大きいほど自己資金が充実し、財政面での将来的な余裕につながる
といえます。現在、プラスで推移していますが、急性期診療棟の建設に係る施設設備補助金が「その他の特別収入」に臨時的な収入として
多く計上されているため、事業活動収支差額比率のプラスは一時的なものと考えられます。
(4)その他
①有価証券の状況
②借入金の状況
③寄付金の状況
④補助金の状況
⑤関連当事者との取引の状況
ア)関連当事者
イ)出資会社
当学校法人の出資割合が総出資額の2分の1以上である会社等の状況は次のとおりです。