人間工学 その他

研究ツール情報

1.活動量計を用いた睡眠評価方法

睡眠衛生を評価する方法として、質問紙法としてはピッツバーグ睡眠質問票が有名ですが、不眠症の評価などに直結するような睡眠潜時、中途覚醒時間、早朝覚醒の有無などをより客観的にある程度評価できる方法として、活動量計で睡眠の状態を推定する方法が用いられます。そのようなシステムとして米国AMI社のアクティグラフなどが有名ですが、当研究室ではカラダフィットという活動量計などを用いた、キッセイコムテック株式会社のSleepSign Actというソフトウェアを用いたシステムを保有しています。活動量計の種類が2種類ありますが、合計30台利用可能です。ただし、活動量計のデータを有効に利用するためには、少なくとも入床、出床時刻が記載された睡眠日誌をつけていただく必要はあります。
 一日を通じて小型の活動量計を体幹のどこかに装着することで、数カ月以上にわたり、日中活動量および睡眠の種々のパラメータの測定が可能になるので、睡眠衛生の把握のための強力なツールであり、メンタルヘルス不調で休職していた方の職場復帰における、日常生活の評価ツールとしても利用可能であると考えています。

2.眠気あるいは覚醒度の評価方法としてのサイコモータービジランステスト(PVT)の紹介

 PVTの測定値は、睡眠不足時の睡眠潜時とは逆相関することが知られており(Dinges DF et al., Sleep. 1997 20(4): 267-77.)、眠気あるいは覚醒度の客観的な評価法として用いられています。この測定方法としては、1)米国AMI社のPVT-192 Psychomotor Vigilance Task Monitorを用いる、2)Palmプラットフォーム上のPVTソフトを用いる、3)米国のBiotechnology High Performance Computing Software Applications Institute (BHSAI) が開発したPC-PVTを用いる、の選択肢があります。当研究室ではPVT-192は3台、Palmプラットフォーム上のPVTは10台利用可能です。また、PC―PVTはウィンドウズOS上で稼働するフリーソフトウェアで、ダウンロードは自由にできます。ただし、日本語のシステム上では動作が不安定、あるいは動かない場合もあり、注意が必要です。

3.ワークアビリティインデックスについて

ワークアビリティインデックス(WAI)は、神代雅晴・前教授時代には人間工学研究室の研究ツールの一つでしたが、現在は用いておりません。当研究室から福岡教育大学教育学部に異動した樋口善之(ひぐち よしゆき)准教授が、WAIを用いた研究を行っております。WAIに関するお問い合わせについての対応は、樋口先生にお問い合わせいただきますよう、お願いたします

4.国際労働機関(ILO)の人間工学チェックポイントアプリについて

 人間工学チェックポイントはILOが、人間工学の観点から特に中小規模事業場での参加型職場環境改善のためのツールとして作成したものです。その日本語版が大原記念労働科学研究所(小木和孝先生訳)から出版されていますが、この内容をiOSおよびアンドロイドOS上で動くアプリとしてILOが作成して無料で使用することができます。当教室では日本語版アプリの作成に協力しました。現在、各種実習等でこのアプリを使用しています。

活動量計による睡眠の評価やPVTについて詳しい情報についてお知りになりたい方は、研究室までご連絡ください。
j-ninko(アットマーク)mbox.med.uoeh-u.ac.jp (アットマーク)部分を@と入れ替えてメールください。