胸膜 (“ろくまく”) に発生する悪性腫瘍 (がん)の新しい手術法 !
産業医科大学病院の呼吸器・胸部外科は、肺を残しつつすべての病変を取り除く手術を可能にする新しい方法を開発し、このたび
5
月
20-21
日に開催された第
38
回日本呼吸器外科学会で発表しました。
(※5
月
24
日に英文誌
General
Thoracic
and
Cardiovasc
Surgery
にオンライン出版)。
胸膜(“ろくまく”)に発生する悪性腫瘍(がん)は、胸膜中皮腫と呼ばれ、アスベストが原因であり、有効な治療法に乏しいのが現状です。
腫瘍は直ちに胸の中(胸腔内)を広がるため、従来は手術で取り除くにはがんが広がった胸膜を肺ごとすべて取り除く方法(胸膜肺全摘術[EPP])が一般的でした。
この方法では片方の肺がすべて無くなるために手術の負担が大きく、手術に耐えられる患者さんは限られ、また手術ができたとしても手術後には生活の質(QOL)が大きく低下しました。
本院の呼吸器・胸部外科では、発表した新しい手術法を 36 名の胸膜中皮腫の患者さんに実施し、うち 31 名(86.1%)の患者さんで肺を残して病変をすべて取り除くことができました。
また手術による死亡は認めず、この新しい手術は安全に施行することが示されました。
肺を残すことにより、術後の生活の質(QOL)が保たれ、手術後に職場復帰することも可能で、今後の更なる発展検討が期待されています。