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令和5年度産業医科大学入学式が挙行されました

令和5年度 入学式 が4月6日(木)10時から挙行されました。

学長式辞は、以下のとおりです。

令和5年4月6日

令和5年度入学式 祝辞 

 ご入学おめでとうございます ―輝かしい未来は皆さんの手に―

学長 上田 陽一

 産業医科大学医学部ならびに産業保健学部看護学科・産業衛生科学科に入学された新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。教職員を代表しまして心より歓迎の意を表します。また、保護者の皆様、ご関係者の皆様にお祝いを申し上げます。新入生をこの日まで温かく見守り育てていただきました皆様に心より御礼申し上げます。

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 いま皆さんは、これから始まる大学生活への大きな期待と漠然とした不安が交錯していることでしょうが、どうぞご安心ください。産業医科大学の教職員一同、皆さんの学生生活が充実したものとなるようにサポートします。学生一人ひとりに指導教員が付き、経済的な支援や学生相談室などの手厚い学生支援制度があります。ぜひ活用してください。

 3年にわたる新型コロナウイルス感染症の世界的な感染流行とその対策のため、皆さんの高校生活や受験勉強にはいろいろな制限や困難があったことと思います。しかし、皆さんはその体験を通してきっとより一層成長したのではないでしょうか。これから始まる大学生活への期待はより大きくなっていることでしょう。

 コロナ禍の中で産業医科大学での大学生活もまたずいぶんと制限されました。構内に大学病院を擁する本学では特により厳しい感染対策が実施されました。その中にあって本学の学生は学びをとめることなく、オンライン・ハイブリッド形式を取り入れて講義・実習に工夫を重ねた教職員の熱意とともに、今日まで乗り切ってきました。昨年秋には3年ぶりに医生祭と呼んでいる大学祭を在学生が自ら開催したいと申し出て、十分な感染対策のもと無事に実施することができました。文化会・体育会サークル活動も徐々に盛んになりつつあります。

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 先月の医師国家試験、看護師国家試験、保健師国家試験においても好成績を収めることができました。また、産業衛生科学科卒業生の就職も好調でした。この3年、産業界ならびに地域社会において産業医科大学および皆さんの先輩である本学卒業生がコロナ感染対策の種々の場面において大いに活躍・貢献しました。このことを誇りに思い、是非、皆さんにお伝えしたいと思います。

 現在、産業医科大学に限らず大学教育は大きな変革の時期にあります。入学者の受け入れ方針であるアドミッション・ポリシー、教育プログラムの編成方針であるカリキュラム・ポリシー、卒業までに身につけるべき内容を定めたディプロマ・ポリシーが本学医学部、産業保健学部看護学科、産業衛生科学科それぞれに定められています。さらに、卒業までに修得すべき能力(コンピテンス)と具体的な到達目標(コンピテンシー)をきめ細かに設定し、習得度を確認しながら学修を進めていきます。

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 皆さんがこれから身につけるべき膨大な知識・技能がきちんと整理され、習得度は可視化され、そして3つのポリシーはPDCAを回しながら改善されていきます。学習方法もこれまでの受け身の座学から積極的なアクティブラーニングへと変化しつつあります。つまり、大学受験のノウハウとは異なった勉強法を身につけなければならないのです。ぜひ、自ら学ぶ姿勢を身に付けてください。これからが本当に学ぶ時期でもあります。

 少し難しいことを申し上げましたが、もちろん、大学というのは知性と創造性に満ち溢れており、皆さんの好奇心を大いに刺激してワクワクする場所、皆さんの夢を実現するための場所でもあります。

さて、皆さんに一つの提案があります。“10年後の私へ”というタイトルでメッセージを書いてみてください。 “私は、今日産業医科大学に入学しました…”から始まる文章です。皆さんに伝えたいことは、今のこの気持ちを忘れないで高い志を持ち、そして持続していただきたい、ということです。大学での主役は皆さんです。大いに学び、友人、先輩・後輩との絆を深め、多くのことを経験し、高い倫理観を身に付け、心身ともに健全に大きく成長を遂げて社会に旅立つ日を願っています

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 産業医科大学は、1978(昭和53)年4月開学以来、「優れた産業医・産業保健専門職の養成と産業医学の振興」を目的・使命として45年にわたりたゆまない努力が続けられてきました。初代学長の土屋健三郎先生は、医学部一期生の入学式から入学式のたびに建学の使命を述べられ、私たち卒業生の心に深く刻まれています。その使命をご紹介します。1.産業医科大学は人間愛に徹し生涯にわたって哲学する医師・医療人を養成し、2.産業環境を中心とする環境科学とライフサイエンスとの融合発展に努力を払い、3.経済学をも含む新しい生態学を発展せしめ、4.産業化社会における産業医学の確立のみでなく、地域医療との有機的な結合をはかり、もって二十一世紀の医学分野に置ける先駆者として、人類のより良い生存をかちとるための新しい福祉社会を樹立することを建学の使命とする。

 特に“人間愛に徹し生涯にわたって哲学する”という言葉の意味は深く、新入生の皆さんにも考え続けていただきたいと思います。なお、初代学長のご功績を顕彰してラマツィーニホール前の広場が“土屋健三郎広場”と命名されました。

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 また、ラマツィーニホールと名付けられたこの講堂の名称の由来となった産業医学の父と呼ばれるイタリアの医師ラマツィーニは1700年に“働く人の病”を出版しました。その初版本がロビーに展示されています、ぜひ御覧ください。また、ホール前にはラマツィーニ像が設置されています。医師ラマツィーニが生きた時代からしばらくしてイギリス産業革命により社会構造が大きく変化しました。そして、産業革命をSociety3.0と呼び、情報化社会のSociety 4.0を経て現在のAIやIoTの急速な発達による新たな高度情報社会であるSociety 5.0へと繋がります。また、少子高齢化の急速な進展、働き方改革は医師の働き方にまで及び、先の見えない激変する社会にあります。この歴史的な変革期にあたり、皆さんは、“働く人々の健康を守る、元気にする”ことで現代社会が人間性豊かに発展し、新たな価値を創造する原動力となるために貢献する覚悟が必要ですし、社会から大きな期待が寄せられています。

産業医科大学は日々変貌を遂げ、最近では、高年齢労働者産業保健研究センター、災害産業保健センター、感染症科学講座が設置され、人生100年時代における高齢労働者、大災害・感染症パンデミックに焦点をあてた教育・研究・実践活動に取り組んでいます。コロナパンデミックのため難しかった海外大学などとの交流も再開しつつあります。

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 産業医科大学は輝かしい未来を創造するために産業医大未来構想2040を策定しています。働く人の健康を守るオンリーワンの大学としてこの実現のため全学をあげて邁進しています。

 本学は「産業医学の振興と優れた産業医・産業保健専門職の養成、質の向上」を目的とする我が国唯一の大学であり、大学病院は北九州医療圏で唯一の特定機能病院です。8月には急性期診療棟が開院・診療を開始し、地域の高度急性期医療・最先端医療の新たな中核となります。この新棟には最新の医療設備はもちろんのこと、産業医学臨床センターや両立支援科を有し、最新の臨床医学教育や治療を行いながら、働く人々の支援を行う準備が整っています。

新入生の皆さんは今日から産業医科大学の一員となります。一緒に産業医科大学の輝かしい未来を創っていきましょう。

本日はご入学おめでとうございました!