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利益相反マネジメントの実施について


1 利益相反マネジメントの必要性

新たな「知の創造」の時代を迎えた今日、大学には、教育・研究活動という基本的使命に加え、社会貢献という第三の使命が求められています。特に、産学連携を通じた大学の研究成果の社会還元への期待はこれまでになく高まっています。今後の大学は、社会のニーズの多様化等に適切に応えるとともに、教育研究の質の高度化及び展開により社会をリードするという重要な役割を担っています。

しかし、真理の探究を目的とする大学と、利益追求を目的とする企業とは、そもそも基本的な性格や役割が異なることから、産学連携活動を積極的に推進すればするほど、利益相反に関わる問題、すなわち、教職員が企業等との関係で有する利益や責務が大学における責任と衝突する可能性が増大してきます。

このような状況は産学連携活動に伴い日常的に生ずるものですが、適切な対応を怠れば、大学および教職員自身の社会的信頼を害し、ひいては大学の教育研究活動を阻害するおそれがあります。大学が自らの社会的信頼を保持しながら産学連携を通じて社会貢献という使命をも果たしていくには、利益相反に関する適切な対応が不可欠となります。

このため、本学は、本学及び教職員の尊厳を守ることを第一として利益相反マネジメントを実施し、産学連携活動によって生ずる利益相反に関する社会への説明責任を果たすとともに、教職員が産学連携活動を健全かつ活発に取り組める環境を整備します。

2 利益相反マネジメントの基本的な考え方

(1)本学は、産学連携活動を含む広範な社会貢献を大学における重要な職務の一つと認識し積極的にこれを支援します。

(2)本学は、教職員が教育・研究等の業務と調和を保ちつつ産学連携活動を実施するよう啓発活動を行うとともに、活動状況を管理し、適切な推進を図ります。

(3)本学は、教職員が産学連携活動により受ける利益が社会通念からみて疑念を抱かれないように、その活動を透明かつ適正な形で推進します。

(4)本学は、個別案件に応じて適切な対応を図るため、個々の事例を積み重ねることで、利益相反に対する一定の判断基準を形成していきます。

3 利益相反の判断基準

判断の基準は次に掲げる指針によります。

(1)教職員等が、教育、研究、診療等の学校法人の業務よりも、学外機関又は個人的な利益を優先させていると客観的に判断されるか否か。

(2)教職員等が、個人的利益の有無にかかわらず、教育、研究、診療等の学校法人の業務遂行よりも学外機関との諸活動を優先させていると客観的に判断されるか否か。

(3)教職員等が、研究の公共性、社会性等より学外機関又は個人の利益を優先していると客観的に判断されるか否か。

(4)学校法人及び教職員等が産学連携活動により得た利益が、社会通念からみて不当に高いと客観的に判断されるか否か。

4 利益相反マネジメントの対象

利益相反の生じる可能性のある行為は、概ね次の場合をいいます。

(1) 兼業活動の場合

(2) 職務に関連し、学外から報酬、株式保有等の経済的利益を有する場合

(3) 外部機関に大学の職員等が自らの発明等を技術移転等する場合

(4) 共同研究、受託研究及び各種研究員の受入れにより学外者と研究交流する場合

(5) 外部から寄附金、設備・物品の供与を受ける場合

(6) 何らかの便益を供与される外部者に対して施設・設備の利用を提供する場合

(7) 何らかの便益を供与される外部者から物品を購入する場合

5 自己申告書の提出

(1)年1回の自己申告推奨基準

利益相反に関する年1回(前年度4月1日から3月31日まで)の自己申告推奨基準は、次に掲げるものとし、4月末日までに提出することとしています。ただし、自己申告推奨基準以下であっても、自己申告及び相談の対象から除外するものではありません。

(1) 本来業務に準ずる兼業として認められている大学発ベンチャーの業務に従事する場合知的財産に関係する譲渡料及び実施料がある場合

(2) 産学連携先が公開企業であってエクイティの5%以上を保有する場合(家族も含む)

(3) 産学連携先が未公開企業であってエクイティを保有する場合(家族も含む)

(4) 産学連携先1企業等につき年間500万円以上(税込)の物品購入、または企業等へ業務委託を行うにあたり、機種または業者の選定等に関与したことがある場合

(5) 産学連携先1企業等につき年間100万円以上の寄附金を受け入れた場合

(6) 産学連携先1企業等につき年間100万円以上(税込)の経済的利益(物品の供与を含み、大学が受け入れる寄附金を除く。)を獲得した場合

(2) 申告情報の漏洩管理

自己申告された利益相反に関する情報は、職員等の利益相反に関する個人情報が部外に漏洩しないよう、研究支援課において厳重に保管・管理します。

6 臨床研究に関する利益相反マネジメント

臨床研究など、その内容が高度に専門的であり、倫理面等重要な問題を抱えているような研究分野については、通常の利益相反マネジメントよりもさらに慎重な判断が要求されるため、臨床研究等に関する利益相反マネジメントについては、別途定めることとしています。

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7 見直しの実施

社会通念の変化、法令の改正、適切に対応するために、利益相反マネジメントの見直しを適宜実施します。また、対象者・対象事象及び基準については、各事例への対応の積み重ねから、内容を見直し充実を図ります。