教授挨拶

~ ごあいさつ ~


 産業医科大学医学部第2病理学教室は、昭和53年の本学医学部開設とともに設置され、初代小出教授が慶応大学より赴任され教室をスタートいたしました。平成5年より久留米大学より笹栗靖之教授が赴任され、平成265月より中山敏幸が担当しております。

 

 「原病学」として開始された日本の「病理学」講義ですが、臨床医学に必要な知識の習得であり、エビデンスを基本とする西洋医学を行うに当たって必修であったようです。教科書を使った系統講義や解剖を行い、単なる投薬や手術技術ではなく病気の発生機序の説明は西洋医学導入の当初から重要な分野の一つと考えられます。

 

 病理学は、日本の医学教育の中では基礎医学に分類されており、病因解明の基礎研究および学生教育を行っています。また一方で、病院での病理診断や解剖を行い、明らかに臨床医学の分野です。近年では「標榜科」として認められ、内科や外科と同様に一般開業が可能となっています。基礎医学と臨床医学の両面を併せ持つ病理学は、まさにトランスレーショナル医療の中心的役割を担う分野と考えます。

 

 近年の日本の病理学において最も重要な問題は人材不足です。特に若手病理医の不足は至って深刻です。大学における病理学教室の重要な役割は人材育成ですが、いくつかの大学を除いて、充分にその機能を果たしてはいません。第2病理学教室では、最重要課題と位置づけ、積極的に説明・育成を行い、若手病理医の仕事環境改善に取り組んでいます。

 

 基礎医学と臨床医学は車の両輪であり、どちらが欠けても良い治療には結び付きません。第2病理学教室では、質の高い医療の実現に向け、病態解明や新規治療法の開発のため実験を行うと共に、日々の病理診断にてより良い治療へ貢献します。

 

平成27年6月8日  
中 山  敏 幸