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令和3年度 事業計画

Ⅰ 令和3年度事業運営の基本方針

 令和3年度は、新型コロナウイルス感染症に対して全学を挙げて取り組み、第3次中期目標・中期計画(平成28年度~令和3年度)の最終年度として、医科大学としての教育・研究・診療の基盤を強化し、産業医学及び産業保健の中核を担う豊かな人間性に富む人材を養成するとともに、産業医学の振興及び産業保健の推進の更なる発展に努め、医療の提供においては、地域に密着し、かつ先進的な機能の充実を図ることを基本方針とし、特に以下の事項について重点的に取り組む。

1 教育 産業医学・産業保健の中核を担う人材や次世代の研究リーダーの養成、産業医学・産業保健分野を目指す学生の確保、国家試験の高い合格率の維持

2 研究 社会の求める課題の解決に寄与する産業医学・産業保健の研究

3 産業医及び産業保健専門職の養成 「人材育成プラン」に基づく積極的な養成、本学卒業生の70名以上の産業医従事、産業保健専門職の養成、産業医学に関する様々な研修会の充実及び首都圏専門的産業医養成支援事業の実施、過労死等の防止に係る研修事業の実施等

4 病院運営 大学病院については、高度急性期医療の推進、若松病院については、地域に信頼される医療の提供

5 社会貢献及び情報発信 本学の知見や研究成果を社会還元し、情報発信を推進

6 業務運営 第4次中期目標・中期計画の策定、機能的な組織、財政基盤の安定化・収益性の確保、医師の働き方改革への対応、施設整備、大学病院耐震工事の完了、急性期診療棟建設工事の着手、医学教育分野別評価の受審準備

7 コンプライアンスの徹底 コンプライアンス意識の定着、法令及び学内規則等を遵守する取組


Ⅱ 令和3年度事業計画の具体的内容
 1 教育
  (1) 学部教育
   ① 医学部

 ディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーに基づき、高い倫理観及びコミュニケーション能力を備えた人間性豊かな医師を養成するとともに、6年間を通じ系統的な産業医学教育を実施し、優れた産業医の養成を図る。

 ・ 教育内容について検証し、継続的に改善を行い、医学教育の質的向上を図る。

 ・ 総合教育セミナー、研究室配属等の少人数対話型教育を通じて、課題探求・問題解決能力、コミュニケーション能力の涵養を図るとともに、実効性のある医学教育の円滑な実施と効果的な教育目標の達成を図る。

 ・ 医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂)及び医学教育分野別評価基準に対応した医学教育カリキュラムを確立するため、平成31年度入学者から適用となった新カリキュラムと旧カリキュラム(4年次~6年次適用)の円滑な実施を図る。

   ② 産業保健学部

 ディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーに基づき、高度な知識・技術と幅広い教養を身に付けた看護師、産業保健師及び労働安全衛生専門職を養成する教育を行う。

  ・ 教育内容について検証し、継続的に改善を行い、産業保健教育の質的向上を図る。 

  ・ 看護学科及び産業衛生科学科において、令和2年4月入学者から導入された新カリキュラムによる教育を円滑に実施す るとともに、産業保健人材育成のための実習の強化を図る。

  ・ 令和4年度から「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」の一部が改正されることを受け、関係機関に必要な手続を行う。

  (2) 大学院教育

      ディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーに基づき、高度な研究能力と豊かな学識を有した人材を養成する教育を行うとともに、産業医学の発展に貢献する。

  ・ 学術研究の進歩や高度化に対応するため、大学院の教育・研究のあり方について必要な検討を加え、その充実を図るとともに、適切な研究指導により大学院生の計画的な研究を促し、大学院教育の質的向上を図る。

  (3) 学生の受入れ

   ① 学部

      本学の設置目的及びアドミッション・ポリシーを十分に理解し、明確な使命感及び目的意識を持つ、将来、産業医及び産業保健専門職として活躍できる優秀な学生を全国から更に多く確保する。

  ・ 高校及び予備校訪問、入試説明会への参加、多様な媒体の活用等様々な活動を行い、全国からより多くの志願者を募る。

  ・ 文部科学省の大学入試選抜改革(高大接続改革)も踏まえ、本学の入試制度を見直すことを検討する。

  ・ 学校推薦型選抜及び一般選抜を適切に実施する。

   ② 大学院

      本学の設置目的及び各専攻のアドミッション・ポリシーを十分に理解し、自らが主体的かつ積極的に課題に取り組み、解決する能力を有する学生の確保を図る。

  (4) 国家試験

   ① 医学部

      医師国家試験の合格率は、教育効果を示す重要な指標の一つであることから、医師国家試験等の情報分析を行い、授業、定期試験等に反映させる。また、模擬試験結果の検証を行い、成績下位者へは徹底した学習指導を実施し、合格率95%以上を目指し、その実現を図る。

   ② 産業保健学部

      看護師及び保健師国家試験の情報を把握し共有化するとともに、教育方法及び模擬試験結果を検証し、徹底した学習指導の実施に努め、全員合格を目指し、その実現を図る。

  (5) 教育の質の向上

      教育研究に係る内部質保証の方針に基づき、教育研究質保証推進委員会において、各学部等の教育研究活動の改善及び向上を着実に推進する。

      令和2年度に設置したIR推進センターについては、教育研究質保証推進委員会と連携し、大学教育・研究に関する目標・事業計画の進捗状況の評価に必要なデータ及び分析結果の提供を行い、全学的な教育研究活動における適切なPDCA推進を支援する。

      令和元年度に導入した学修成果を可視化するためのツール「学修評価システム(eポートフォリオ)」による学修成果の把握及び評価を行う。

医学・看護学・産業衛生学教育を取り巻く新たな課題への理解を深めるとともに、教育内容及び方法の組織的改善と教員の教育能力の向上を図るための、ファカルティ・ディベロップメント(FD)を実施する。

  (6) 学生への支援

      学生指導については、学生部長のもと学内関係者一体となって、学生生活全般に関する相談及び指導等の充実を図る。

  ・ 教員と学生との関わりを深め、指導教員制度の充実を図り、産業医、産業保健専門職への就業の動機付けを行うための情報を提供する。

  ・ 令和2年度に創設した本学独自の修学援助奨学金制度及び新型コロナウイルス感染症等による緊急な理由により学業の継続が困難となった学生のための緊急学業支援貸付金制度により、更なる学生支援の充実を図る。

  (7) その他教育全般

    新型コロナウイルス感染症対策に万全を期し、学生向けの感染対策を強化する。

 

 2 研究

  (1) 産業医学・産業保健の研究

    職業性疾病の予防と労働適応能力の向上に資する研究課題を探究する。

 ・ 産業医学に関する諸課題(労働者の能力向上、産業保健体制・経営改善、様々な有害要因の解析と改善、新規化学物質の有害性評価等)に取り組む。

 ・ 「高年齢労働者産業保健研究センター」を新たに設置し、高年齢労働者の増加に伴う労働災害の予防を図り、職業適性を推進する横断的な研究を進める。

   ・ 「災害産業保健センター」を新たに設置し、災害産業保健に関する研究、教育コンテンツやマニュアル等の作成、人材育成に取り組む。また、全国各地の卒業生産業医等を中心にネットワークを構築し、研修及び災害対応の実施に向けた整備を行う。

  (2) 研究の質の向上

   ① 研究の活性化

   本学が戦略的に取組むべき研究課題を明確にし、重点分野に資源を注入することにより、他大学・研究機関に先駆け、研究成果の向上を図る。

   ② 産学官連携の推進

   産業界、行政機関等との連携・協力を推進し、共同研究・受託研究等を積極的に推進する。

   ③ 国際交流の実施

         国際交流センターにおいて、アジア、欧米諸国の学術研究機関、国際協力機構、世界保健機関、国際労働機関などの国際連合関連機関との産業医学研究者交流・受入事業、「交換医学教育」、「国際産業保健特別演習」、「国際看護学特別演習」をはじめとする交流協定等に基づく活動、遠隔講義の開催等の国際学術研究交流活動を専門的かつ積極的に支援し、より一層の促進を図る。

   ④ 産業保健データの活用

         産業保健データサイエンスセンターにおいて、企業、健康保険組合等が保有する産業保健のデータ収集を行い、情報を統計学的に分析し、データ提供企業等に対して、分析結果をフィードバックする。

  (3) 教育研究環境整備

  教育研究支援施設各センター間の緊密な連携を図るとともに、施設の基盤整備及び適切な管理運営により、一層の教育研究支援を行う。

 

 3 産業医及び産業保健専門職の養成等

    国における産業医・産業保健機能強化の動きを受け、「産業医科大学における今後の産業保健分野の人材育成プラン(以下「人材育成プラン」という。)」に基づき、優秀な産業医・産業保健人材の育成を図るため、次の取組を行う。

  (1) 産業医の養成

  ・ 医学部については、産業医への就職支援を充実させ、70名以上を産業医に従事させる目標達成の実現を図るとともに、社会全体の産業医に対する期待と需要が高まる中、「人材育成プラン」に基づき、更に多くの産業医の輩出を図る。

  ・ 医学教育プログラムの改革に合わせ、産業医学教育において1年次から6年次まで基礎専門・実習の的確な配置と十分な時間的な確保を図る。特に産業医学現場実習を充実させるとともに、産業医実務に活かせる臨床能力の向上を図る。

  ・ 学部生及び卒業生に対して、産業医学・産業保健関係業務に関する情報提供等を行い、産業医学・産業保健関係業務への就労支援を行う。

  ・ 産業医業務に必要な修練を充実させた産業医学卒後修練課程について、専門産業医コースⅠに関しては社会医学系専門医研修プログラムを引き続き実施する。専門産業医コースⅡに関しては診療領域における基本18領域の専門研修プログラムを組込んだ後期課程修練を引き続き実施し、各コースの円滑な運営を行うことにより、それぞれの専門医資格要件を有する優れた産業医を養成する。

  ・ 産業医資格の取得に係る産業医学基本講座、産業医学総合実習及び産業医学基礎研修会集中講座を実施する。なお、産業医学基本講座については、他大学卒業生に対する広報活動を推進し、受講生の積極的な受入れを図る。

  ・ 産業医学修練医等に対して、産業医実務に関する知識及び技術を実地に研修させる産業医学実務講座を実施する。

  ・ 臨床研修を全国で行っている修練医が円滑に卒後修練課程(後期課程)へ移行することを支援するために、所属講座等と進路指導担当部署等との情報共有を行うとともに、キャリア支援及び進路指導の強化に資する仕組みとしてメンター制度を導入する。

  (2) 産業保健専門職の養成

      産業保健学部については、産業保健専門職への進路支援を充実させ、関連職場への就職を促進する。

 ・ 企業の産業看護職へのニーズの高まりに併せ、産業看護関連科目に関する講義及び実習の充実を図る。

 ・ 企業に勤務する先輩産業看護職との交流会等を充実させ、産業看護職志向を高める機会の増加を図る。

 ・ リスクアセスメントの実施等、化学物質管理の強化に対応できる教育を充実させるとともに、衛生管理者教育の強化を図る。

  (3) 産業医及び産業保健専門職の能力向上

   ・ 産業医等のキャリアに応じた研修の一環として、産業保健コアカリキュラム及び産業看護実務研修を実施する。

   ・ 本学で蓄えられた教育・研究成果を活用し、全国各地で産業保健専門職への専門的研修(産業医学実践研修)を実施する。

   ・ ストレス関連疾患予防センターにおいて、過重労働対策を推進するための研究及び研修教材の開発を行うとともに、関連分野の科学及び社会政策について幅広い知識を有する特命講師が全国の主要都市において産業保健専門職を対象として実施する研修事業の更なる充実を図る。

   ・ 産業医及び産業保健専門職への情報提供を行い、産業医・産業保健機能の強化を図る。

   ・ 新たに開設した「病産連携窓口」(産業医の臨床的な悩み相談)の周知・充実を図り、卒業生産業医の活動を支援する。

  (4) 首都圏専門的産業医養成支援事業(東京プロジェクト)

     首都圏において、質の保証された産業医学に関する教育・研修事業及び産業保健関連分野のネットワークを構築・展開し、わが国における産業医学分野の人材の更なる育成と情報の収集・発信を図る。

① 事業Ⅰ(教育・研修事業)

 教育・研修事業として、首都圏において、他学卒業の医師で専門的な産業医を目指す者に対して、産業医学基本講座をはじめ、体系的な研修を行い、産業医学・産業保健の分野に関わる高度な人材を育成する。

② 事業Ⅱ(就職促進事業)

 就職促進事業として、継続的な産業医の供給という社会的な要請に応えるため、大学関連会社と連携協定を締結し、事業Ⅰ修了者のうち産業医への就職を希望する者への産業医活動に関する相談対応、情報提供、産業医就労体験等の支援を行う。

③ 事業Ⅲ(情報発信・啓発事業)

 情報発信・啓発事業として、産業医学・産業保健に関する情報収集、発信拠点としてのセミナー・研修会の開催、受講者相互の人的ネットワークを構築するための首都圏事業プレミアム会員制度の充実を図るとともに、Webによる情報共有、個別相談等を実施する。

 

 4 病院運営  

 大学病院と若松病院は、それぞれの機能を生かした運営により、地域完結型医療における高度急性期医療機関としての診療体制・機能、医療の質の充実・向上を図り、国が進める地域包括ケアシステム、高齢化が進む地域への適切な医療提供等について、具体的な目標を持った運営を行う。

 また、新型コロナウイルス感染症対策については、国・地方自治体との連携及び協力を行うとともに、必要な環境整備を行い、強固な感染対策を実施し、患者の感染対策はもとより職員の感染対策を徹底する。

 ・ 患者の安全を確保するため、常に業務改善を行うとともに、医療安全に関する情報の発信及び教育・研修を通じて、職員の安全管理に対する意識向上を図るなど、医療事故、院内感染防止等の医療安全対策及び情報管理対策を充実・強化する。

 ・ 病院長のマネジメントによる効率的な病院経営を目指し、業務の効率化、病床稼働率向上のために集患を図るとともに、ベンチマーク(他病院との比較による)等も活用し、薬品・診療材料費等の経費節減を図る。

また、各診療科及び部門においても具体的な目標を設定し、経営を意識した診療を促すとともに、目標の達成状況を適宜確認の上、問題点を解決し、経営改善に努める。

 ・ 診療体制・機能の維持及び充実を図るため、医療設備・機器の整備を継続的かつ計画的に行うとともに、医療スタッフの負担軽減を図る。

 ・ 医師の働き方改革について、医師の超過勤務時間削減に向けた計画を策定し、特定行為看護師の養成等により、更なる他職種へのタスクシフティングの推進、人員増等により医師の負担軽減を図る。

 ・ 患者サービスの向上及び外来患者の確保対策の一環として、大学病院及び若松病院が連携し、シャトルバスの有効活用を図る。

  (1) 大学病院

  ① 高度急性期医療の推進

 ・ 高度急性期医療への更なる特化を図り、特定機能病院及び地域の中核病院として先進医療及び地域医療を推進する。

 ・ 適切な医療サービスが提供されるべき疾病として厚生労働省が定める5疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病・精神疾患)に対応した医療提供体制を構築するため、救急医療への対応体制の検討、増加する老人性疾患への急性期対応と地域医療機関との機能分担等を進め、高度急性期医療及び地域医療の中核病院としての診療体制・機能の充実を図るとともに、特にがん治療については、地域No.1を目指す。
また、新設した脳卒中血管内科では、脳血管疾患の急性期診療の活性化に取り組む。

 ・ がんの集学的治療を推進するため、地域がん診療連携拠点病院として、がんセンター及び緩和ケアセンターを中心に、地域におけるがん診療の中核として、診療機能の充実を図るとともに、教育・研修体制の拡充を図る。
また、がんゲノム医療連携病院、小児がん連携病院として院内及び中核拠点病院との連携を強化する。

 ・ 近隣の病院との機能分化を明確にし、患者急変時の対応、後方ベッドの有効活用等、地域の医療機関との連携強化による地域完結型医療体制の拡充、機能強化及び紹介患者数の増加を図るため、コア・ネットワーク病院を含む近隣医療機関等との緊密な連絡、支援等を行うなど、相互支援体制の構築及び連携強化を図る。

 ・ データを分析することにより診療圏外からの紹介患者の増加策を検討する。

 ・ 治療と仕事の両立支援については、治療を受けながら就学・就労することを希望する患者が増加していることから、両立支援の相談や要望に応えるとともに、支援患者等への継続的なサポートに対応すべく、企業等の産業医や産業保健スタッフとの連携体制の構築を行い、両立支援の相談件数の増加を図る。

 ・ 医療機器については、引き続き計画的に更新する。

 ・ 耐震工事及び耐震工事に伴う病棟、関係各部門等の一時的移設・改修を円滑に実施する。

 ・ 次期病院総合医療情報システムの導入に向けた作業を行う。

 ・ 急性期診療棟稼働開始に向けて、医師、看護師及び医療技術職の人員体制の検討を行う。

 ・ 高度な医療に対応するため、専門看護師・認定看護師の増加を図る。

 ・ 令和4年度診療報酬改定に対応するための情報収集を行う。

 ・ 病院機能評価中間報告及び次期受審に向けて、審査結果報告で課題として指摘された事項について順次対応を行う。

 ・ 術中麻酔管理を行わせるために、特定行為看護師を養成することにより、更なるチーム医療を推進し、医師の負担軽減に繋げる。

② 安全かつ質の高い医療の提供等

 ・ 安全かつ質の高い医療の提供のため、職員への医療安全教育の更なる充実を図る。

 ・ 医薬品の保管、流通、投与等に関する安全管理を厳格に行う。

 ・ インシデント・アクシデントレポートによる報告及び医療安全監査委員会による監査結果報告により明らかになった問題事項について、医療安全管理委員会において検証を行い、改善策を職員へ提案し、医療安全対策の強化を図る。

 ・ クライアント管理ソフトにより診療系端末への媒体等の接続を管理し、情報セキュリティの向上を図る。

 ・ 地域住民及び医療機関への情報提供のために、臨床指標の公開、診療実績・機能等の広報活動を積極的に進める。

 ・ 高難度新規医療技術及び未承認新規医薬品等を用いた医療については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、病院倫理委員会での審議を経て適正に提供する。

  ③ 学生教育、初期臨床研修の実施等

 ・ 教育病院として学生の臨床実習を効果的に行うよう取り組む。

 ・ 臨床研修医の確保に取り組むとともに、基幹型臨床研修病院として、地域医療機関と協力し、優秀な臨床研修医の育成を図る。

 ・ 産業医学修練医及び他大学からの専修医を積極的に受入れる。

 ・ 新専門医制度4年目にあたり、着実に円滑な研修の実施及び定員に対するシーリングへの対応等を行う。

  ④ 経営基盤の確立

 ・ 福岡県地域医療構想、診療報酬改定及び医療制度改正に的確に対応するため、算定要件・体制の整備、関係部署への周知等を行う。

 ・ 大学病院と若松病院において、相互の機能等についての協力、補完を行い、運営・経営の改善を図る。

 ・ 臨床研究推進センターの体制を整備したことにより、治験受託件数の安定した獲得を目指すとともに、臨床研究全般の推進を図る。

  ⑤ 患者サービスの向上

 ・ 令和2年度に導入した厚生労働省が推奨するオンライン資格確認の機能充実を図る。

 ・ 令和4年1月導入の電子案内表示板利用に向けて、体制の整備を行い、更なる患者サービスの向上を図る。

  (2) 若松病院

  ① 急性期医療及び在宅療養支援の推進

 ・ 若松区唯一の総合的な病院として、医師会及び近隣の医療機関等と緊密に連携し、患者紹介・逆紹介を促進する。

 ・ 所轄の消防署と情報交換を行い、救急車を積極的に受入れるなど、地域と密着した断らない医療を目指し、地域の中核的病院として、急性期医療を推進する。

 ・ 病棟医長と病棟看護師長との連携を強化し、入院時期や退院時期並びに一般病床と地域包括ケア病床間の転棟・転室等、早期調整を行うことで効率的な病床運用を図る。

 ・ 在宅療養支援を推進するため、訪問看護事業については事業の実施地域及び対象患者の拡大を図る。

 ・ 老朽化した医療機器の計画的な更新を引き続き実施するとともに、基幹設備の更新に係る財源確保について検討を行い、急性期病院としての機能強化を図る。

  ② 安全かつ質の高い医療の提供等

 ・ 急性期病床と地域包括ケア病床において、安全で質の高い医療を提供し、患者サービスの向上を図る。

 ・ 新型コロナウイルスなどの感染防止対策の更なる充実を図り、行政との連携を強化し、地域医療への貢献を果たす。

  ③ 学生教育の実施

  教育病院として、学生の臨床実習を効果的かつ円滑に実施する。

  ④ 経営基盤の確立

 ・ 福岡県地域医療構想及び診療報酬改定等を踏まえ、地域からの要請に応えることのできる病床機能のあり方について検討を進める。

 ・ 地域のニーズに合った診療科への常勤医の配置等、診療体制を検討し、外来及び入院診療の円滑な運営を図り、外来患者の増加並びに病床稼働率の向上を図る。

 ・ 地域住民の要望に沿って若松区市民センターでの公開講座を実施する。また、若松病院の認知度を向上させるため、若松区内の医療機関の訪問及び若松区自治会における広報活動のほか、ホームページの充実を図る。

 ・ 病床稼働率等の向上のための諸施策を着実に実施し、増収を図る。また、経費削減のため、業務委託費の見直し等、支出の削減を図る。

 ・ 若松病院の確固たる経営基盤を確立するため、法人・大学病院と連携し、新たに「若松病院の運営・経営改善プロジェクト」を発足させ、収益向上のための諸施策等について検討する。

 

 5 社会貢献

 ・ 新型コロナウイルス感染症に関連した国、地方自治体等の要請に協力するとともに、地域医療への貢献を行う。

 ・ 東日本大震災・福島原発事故に関連した作業を行う労働者の健康支援活動を引き続き実施する。

 ・ 自然災害などの大規模災害の現場において、初期対応者となる警察、消防署、自衛隊、医療従事者などを対象に、基本的な医学知識、対応策を教育する大規模災害対応講習会を実施する。

 ・ 医学をテーマにした市民公開講座を継続して行う。特に、若松病院においては、地元自治体と連携し、地域住民に対する情報発信を推進する。

 ・ 介護事業の健全な運営を継続するために、利用者の確保に努め、良質なサービスの提供を図り、地域への貢献を行う。

 

 6 業務運営

 (1) 新型コロナウイルス感染症対応

  新型コロナウイルス感染症に適切に対応した業務運営を行う。

 (2) 長期ビジョンの遂行開始

  新たに策定した「産業医大未来構想 2040」について周知を行い、「中期目標・中期計画」をこの「未来構想」を具体化する「目標・計画」として位置づけることとする。

   (3) 第4次中期目標・中期計画の策定

      第3次中期目標・中期計画(平成28年度~令和3年度)については、5年目完了時の点検・評価を行い、外部評価を受け、長期ビジョンを踏まえた第4次中期目標・中期計画を策定する。

   (4)  北九州市との包括連携協力協定の遂行

     北九州市との包括連携協力協定に基づき、北九州市と緊密に連携することにより、双方の資源を有効に活用した協働による活動を推進する。

   (5) 組織・人事及び財務・経営管理

 ・ 高年齢労働者産業保健研究センター及び災害産業保健センターを新たに設置し、体制を整備する。

 ・ 大学の教育研究活動等の適切かつ効果的な運営を図るため、当該活動に関係する教職員の能力及び資質を向上させるためのスタッフ・ディベロップメント(SD)を実施する。

 ・ 全職種において、今後増加する再雇用者が行う業務を整理し、適切な役割、配置、処遇について検討する。

 ・ 情報管理センターにおいて、教育研究支援、情報発信に必要なICT基盤の充実を図る。

 ・ 四半期ごとの財務状況及び毎月の両病院診療実績の把握と分析による経営管理を行い、現状を認識するとともに、原因把握や具体的な改善を行う。

  また、急性期診療棟の建設計画・運営を勘案した資金計画及び大学運営全般に係る財政計画の策定と予算管理を継続して行う。

        ・ 学内全部署において、数値目標を含む具体的な「目標・計画」を作成し、PDCAに取り組む。

 (6)  自己収入及び外部資金の確保

   ・ 新型コロナウイルス感染症対策に係る寄付の受入れを継続し、環境整備及び感染防止対策等を着実に実施する。

   ・ 新たに急性期診療棟建設に係る寄付事業を創設するとともに、クラウドファンディングを活用することにより、外部資金の確保を図る。

   ・ 開学40周年記念事業を着実に実施する。

   ・ 大学運営基金及びその他の運用資金について、安全性を重視しながら最大限の利回りを確保する運用を行い、自己資金の確保を図る。

   ・ 科学研究費助成事業等各種研究資金の募集情報の周知、応募のための支援及び適正な執行の確保等を図る。

   ・ 産学連携活動の推進による外部研究資金の一層の獲得を図り、産業医学に関する研究活動の振興並びに知的財産の更なる創生及び戦略的・効果的活用を図る。

   (7) 魅力ある職場づくり

 ・ 提案制度「小さな気づきを歓迎します」を継続して実施し、業務(時間)の省力化、効率化、収益増、経費削減、本学の活性化を促進し、大学運営等の改善に取り組む。

   ・ 業務の効率化及び平準化を進めるとともに、時間外労働が多い部署について、管理者に対し、改善を促す。また、労働安全衛生マネジメントシステムに基づく、産業医等による面談やきめ細やかな個別面談を実施する。

   ・ 働き方改革関連法の施行に対応し、令和2年度から施行された雇用形態に関わらない公正な待遇の確保に係る制度を引き続き円滑に運用する。

   ・ 本学の新たな雇用制度を円滑に運用し、有期雇用職員から無期雇用職員への採用試験を実施する。

   ・ 医師の働き方改革を進めるため、長時間労働を削減するための計画を策定するとともに、更なるタスクシフティングを推進する。

   ・ 全職員に対し、年次有給休暇を計画的に取得させるための制度の周知を徹底し、年次有給休暇の取得を促進する。

   ・ 男女共同参画推進センターにおいて、引き続き男女共同参画の推進に係る諸施策の着実な実現に取り組む。

 (8)  情報発信の推進

   ・ 本学の教育・研究・診療の状況や成果に関し、引き続き積極的に情報公開・発信を行い、本学の社会的責任を果たすとともに、認知度の向上を図る。

   ・ 産業医学・産業保健に係る情報を充実させ、本学が蓄積した知見や成果を社会が求める情報として更に発信する。

   ・ 令和2年度に開設したYouTube「産業医大オフィシャルチャンネル」及びリニューアルした本学のホームページを活用し、引き続き効果的な情報発信を行い、ブランディングの向上を図る。

 (9)   評価の充実及び活用

   ・ 令和2年度に受審した公益財団法人大学基準協会による大学認証評価結果を受けて、その結果を公表するとともに、同協会からの指摘事項に対して必要な改善を行う。

   ・ 令和4年度の一般社団法人日本医学教育評価機構(JACME)による医学教育分野別評価の受審に向けて、医学教育改革推進センターを中心に自己点検評価報告書の作成を行い、必要な対策を進める。

 (10)   施設整備

   ・ 大学病院本館の耐震化について、令和3年度の完了を目指す。

 ・ 急性期診療棟の建設工事に着手する。

 ・ 老朽化した基幹設備について、更新計画に基づき、非常用発電所の更新工事及び省エネルギー機器の導入を進めるなど、効率的な設備の整備を実施する。

 (11)  コンプライアンスの徹底

    職員のコンプライアンス意識の定着を図り、法令及び学内規則等を遵守するとともに、高い倫理観と良識をもって行動するため、遵守への取組を行う。

   ・ 学内規則、ガイドライン等の遵守及び情報セキュリティ対策(講習会の実施・運用マニュアル等の充実)により、引き続き個人情報の適正な取扱い及び情報の盗難、漏えい等の防止に取り組む。

   ・ 科学的根拠に基づく安全かつ質の高い医療を提供し、適切なインフォームドコンセントを実施する。

   ・ 研究活動及び研究費使用に係る不正防止について、コンプライアンス教育による教職員の意識向上を図るなど、組織的な取組を推進する。